債務整理案件における業者の重要性

私が属している事務所では、多数の債務整理事件を取り扱ってます。労働事件、刑事事件と並んで、債務整理が多いです。

で、一概には言えませんが、一般論として、10年くらい前から借り入れを繰り返している場合には、引き直し計算をした場合、過払金(払いすぎたお金)が発生することが多いですね。でも、これだけでは喜べないところでして、何より重要なのは、どこから借りていたのかという点なんです。というのも、ほとんどの消費者金融は、法律事務所による電車広告、ネット広告、テレビCMによる宣伝効果によって、多数の借り手から過払金返還請求を受けており、支払い能力がないところが多いんですね。
ですので、業者によっては、過払金が発生していても、事実上取り戻すことが困難なところがあります。そういうところは、業者から提示される和解案も低額かつ支払日が数ヶ月先になることが多く、やりきれない思いになります。過去に、ある業者の口座を特定して民事執行したことがありますが、差し押さえが競合して、結局、1割も回収できなかったという苦い思い出があり、和解に応じるべきか否か、どの程度の条件であれば応じるべきかは難しい問題です。

よくテレビCMで見かける大手の消費者金融業者であれば、支払能力はまだしばらくは大丈夫でしょうが。

それにしても、どこから借りたかによって過払金返還の額に差が出るというのは、ホント歯がゆいです。なんかいい方法がないか、引き続き考えたいと思います。

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2011年11月7日 | コメント/トラックバック(0) |

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弁護士の労働条件

一昔前までは、弁護士っていうだけでお金持ちなイメージを抱かれていたと思います。
少なくも私は弁護士になる前は漠然とそんなイメージをもってました。でも、実際になってみて、弁護士仲間の話も聞いてると、羽振りがいい弁護士は一部だけですね。いわゆるボス弁(事務所経営者)はともかく、イソ弁(一部の大事務所、有有名事務所を除く)、ノキ弁、タク弁なんかはけっこう厳しい労働条件で働いている人が多いと思います。

まず、弁護士に残業代という概念はないです(法律論はさておき)。少なくとも私は残業代をもらってるっていう弁護士の話を聞いたことがありません(もちろん企業内弁護士は除きます)。それから、個人事務所で働いている弁護士は厚生年金ではなく国民年金ですし、社宅等の福利厚生はなく、企業のように退職金ももらえないのがほとんどです。それに加えて、毎月、弁護士会費(東京だと5万弱)がかかりますし、交通費が支給されない事務所もそこそこあります。

私は今のお給料で生きていくには困りませんし、弁護士業自体が好きなので気になりませんが、大学時代の同期の話を聞くと大企業で働く同期の方が給与も遙かに高いです。弁護士になりたての頃に月給を1ヶ月の労働時間で割って時給を出したことがありますが、そのときは確か1100円〜1200円でした。最近だと、友達の弁護士から、その弁護士の友達にあたる弁護士が事務所を辞めて再就職先を探してる、どこかの事務所を紹介できないか、って聞かれたことがあるんですが、その求職中の弁護士は就職先がなかなか見つからず、結局、ある事務所に月給18万円で就職してました。仕事が出来ると判断したら、給料上げるってボス弁に言われたようですけど。今は、完全な買い手市場ですのでこういうことがあるんでしょうね。18万円から弁護士会費が引かれるわけですからホントに厳しいと思います。

弁護士は飲食代なんかを経費で落としたりしてるから、羽振りがいいように見えるのではと思うのですが、どうでしょうか?まぁ、弁護士になってお金儲けがしたいって安易に考えてる人は絶対弁護士を目指さない方がいいですね。弁護士は困っている人の力になれるやりがい、使命感の大きい仕事です。その仕事自体に魅力を感じている人こそ、頑張って司法試験にチャレンジして欲しいです。

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2011年11月3日 | コメント/トラックバック(0) |

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セクハラ事案の難しさ

これまでにも、このブログでセクハラ事案については、セクハラの存在を推認させる客観的証拠が重要であると書きました。
そして、現在では、客観的な証拠としては相手とのメールなんかが多いです。
メールで、上司から頻繁に食事に誘われる、下ネタを言われる、好き、愛してる等の甘い言葉をかけられるなんてことがけっこうあって、本人が不快に感じていて働きにくくなるならば、環境型セクハラと言えます。

でも、大抵の場合、上司からのメールを無視するわけにはいかず、かといってはっきり嫌悪感を示すことも現実には難しいところです。職場でひどい対応をされるかもしれないと思うと怖くてできないですよね。で、多くの人が社交辞令でうまい具合に断るのですが、ここに落とし穴があります。社交辞令がいきすぎると、女性側も男性に興味があった、セクハラではなく双方の合意に基づく自由恋愛である、なんていう反論(不快感なく、就労環境は害されていないとの反論)がなされることになり、その有力な証拠として逆にメールの内容が利用されたりするわけです。

というわけで、なかなか加減が難しいところですが、社交辞令で返信する場合には注意が必要です。

男性側からすると、本人は気づいていなくても、女性側が不快に思っていることが多々ありますし、メールの返信なんかが気のある風な内容であっても社交辞令の可能性もありますので、その可能性を意識して気をつけないとダメですね。かくいう私も、実はけっこう鈍感で、女性の真意に気づいていないことがありそうで怖いですが(; ̄O ̄)

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2011年11月1日 | コメント/トラックバック(0) |

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少年事件ならではの大変さ

最近は、少年による凶悪事件はあまりみかけませんね。私は少年事件もよくやってますが、窃盗事件がダントツで多い気がします。あとは傷害とか、たまに薬物事件とかあります。

少年であっても、大人と同じく逮捕、勾留されますが、少年事件の場合、起訴されて裁判になるのではなく、勾留満期までに家庭裁判所に事件が送られて、ほとんどの場合、観護措置決定が出されます。観護措置決定が出ると、そのまま少年鑑別所に収容されて、少年審判の日までそこで過ごすことになります。
鑑別所では、少年の性格分析や知能テスト、家庭状況の調査、非行原因の調査などなどいろんな調査がなされ、その結果を踏まえて少年審判が行われるわけです。大人の場合ですと「弁護人」と呼ばれますが、少年事件では家裁送致後は「付添人」と呼ばれます。

そんな少年事件で大変なのは、少年とのコミュニケーションです。非行に走る少年の多くは家庭や交友関係に何らかの問題を抱えているんですが、なかなか真意を話してくれなかったり、上手く自己表現できなかったりするんですね。親や友達をかばったりなんてこともよくあるんです。前者のことは大人でもよくありますが、後者のことは少年事件ならではのことです。コミュニケーションが苦手な子がけっこういますが、面会を重ねて、根気よく真意を聞き出すことがまず重要ですね。

それから、少年で家庭環境に問題のある場合、その環境を改善できるように親とも面会して話をすることも必要です。ここでツライのは親が非協力的な場合、もしくは仕事等で忙しくて協力する意思はあってもできない場合です。親の気持ちも分かりますが、決して見捨てることなく、子供が更生できるように一緒に悩んで、頑張って欲しいというのが私の本音です。

あと、少年事件では家庭裁判所調査官が少年ごとに担当について、その少年のことを調査し、どういう処分が適当か意見を述べるんですが、調査官との連絡も非常に重要です。お互い少年のことで、どうしたら立ち直れるのかについて意見を交わし、悩んだりしますが、話を聞くと「なるほど」と思わされることや、いろんな問題点に気づかされることが多々あります。調査官の方は、すごい熱心な方が多いです。

上記活動に加えて、被害者対応や、少年の社会内での更生のための環境調整などの活動もあるんで大変なんですが、でも、やりがいはすごいあります。

大人の事件も同じですが、自分が担当した方が更生してくれたら、こんなに嬉しいことはないですね。というわけで、実は今日の午前中に少年審判がありますが、全力を尽くします。

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2011年10月28日 | コメント/トラックバック(0) |

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弁護士にとって怖いことは何だろう?

ふと、弁護士が恐れることって何だろうって考えてみた。

よく言われるのは、裁判の相手方から逆恨みされて攻撃されること、裁判に負けたときに依頼者から恨まれて攻撃されることですかね。
でも,僕の場合、全然気にならないです。弁護士になった以上、このようなトラブルに巻き込まれる可能性があることは覚悟してるのとこれまでにそういう目にあったことがないから実感がわかないんで。そもそも、依頼者には事前にちゃんと説明していて必死にやっていれば恨まれたりしないだろうって思ってますし。

むしろ、事件処理にあたって、気づかないうちに大きなミスをしてしまうことがあるんじゃないかって思うと、こっちの方がよっぽど怖いですね。そのミスは依頼者の事件の帰趨に反映されること、取り返しのつかない事態に至る可能性があることなんかを踏まえるとホントに怖い。まだまだ自分に自信がないです。

昔、ある先生から、弁護士になって10年経ってようやく自信が持てたって聞いたことがありますが、すごく納得です。自信をつけるには、とにかく怠けずに自己研鑽を続けて経験を積むしかないですね。

あと、忘れちゃいけないのが受任した事件について、放置して消滅時効にかけてしまうことです。忙しいとき、気が緩んでるときなんかに起こりそうで怖いです。

他には、仕事がこなくなることですかね。これって、弁護士数大幅増員中の今、多くの弁護士さんが不安に思ってると思います。大幅増員⇒競争激化⇒仕事減少⇒生計維持できなくなる?っていうことがホントに起きるのか、今はまだ分かりません。既に弁護士登録抹消した若手の人が何人もいるって聞いたことがありますが、真相はわからず。でも,年々、新人弁護士の採用状況が悪化してきているのは間違いないです。
確かに考え出すと怖いですが、僕の場合、今やれることは一生懸命に仕事して一つ一つ依頼者の信頼を得ていくこと、信頼を通じて人脈を広げていくことしかないです。もしものときは、そうなったときに考えます(^◇^;)

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2011年10月25日 | コメント/トラックバック(0) |

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ダイソン新型掃除機の続報

ダイソンを購入してから1ヶ月以上経ちました。使用してて、新たな不満は特にありません。

私、飽きっぽい性格なんですが、ダイソンについては飽きずに使ってこまめに掃除しています(笑) 掃除が続く理由はただ一つ、掃除した結果が目に見えて明らかだからです。掃除した日の翌日に掃除しても、たくさんゴミが取れます。一日でこんなにホコリが溜まるんだぁと感動させられますね。

ダイソン以外にも国産メーカーから幾つかサイクロン型掃除機が出ていますが、他メーカーのものでも同じなんでしょうか?私が以前に使ってた国産メーカーのサイクロン型掃除機と比べれば、今使ってるダイソンの方が明らかに吸引力が強いですが、以前の掃除機は4〜5年前のものですから比較してもあまり意味がないですね。

とりあえず、値段が高い分だけの満足は得られてます。いい買い物しました。

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2011年10月23日 | コメント/トラックバック(0) |

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刑事弁護における示談の意味

一昨日、昨日と風邪のために思う様に仕事が進まず大変でした(~_~;)

特に一番辛かった一昨日、夜から刑事事件の被害者と会って話をすることになっていましたので、休むことは許されず倒れそうでした。ですが、なんとかうまく被害弁償ができて、昨日、被疑者の方が処分保留釈放されました。

起訴前の刑事弁護においては、いかにして起訴されないようにするかが重要であり、自白事件(被疑者が罪を認めている事件)の刑事弁護はこれに尽きると思います。そして、詐欺や窃盗等の被害者のいる事件では、被害者に謝罪し、被害弁償して示談を成立させて被害届を取り下げてもらうことが重要です。被疑者に複数の前科や前歴がある場合や、犯行態様が悪質である場合には、示談成立=不起訴というわけにはいきませんが、それでも示談が成立しているかどうかは裁判で宣告される量刑に大きく影響しますので、示談が重要である事に変わりありません。

でも、お金をたくさん支払えば示談が成立するという単純なものではなく、被害者の気持ちをできるだけ理解しようとする姿勢が重要だと思います。こればかりは文字にして伝えることは難しく、これといったノウハウがあるわけではありません。で、示談成立が難しい場合であっても、そこで諦めるのではなく、謝罪の意思を伝えて被害弁償だけでもした方がよいです。誤解を恐れずに大雑把にいうと、俗に言う示談と被害弁償の最も大きな違いは被害届を取り下げてもらうかどうかです。当然、被害届を取り下げてもらったほうが、起訴されにくくなりますが、たとえ示談するのが困難であっても被害弁償ができれば情状面でよくなりますので。

一昨日は、被害者のスタンスが示談は一切しないというものでしたが、お話しして納得していただいた上で、被害弁償に応じていただけてホントによかったです。なお、私の場合、被疑者には被害者の方の思いを伝えた上で、二度と犯罪に走らないこと、次に罪を犯した場合には厳しい処分が下ることを説諭します。そうすることが被害者と被疑者の双方に対して誠実であると考えるからです。
被疑者の弁護人であっても、被害者の声にも誠実に耳を傾け、その気持ちを理解しようとすることこそが示談交渉において最も大切な事だと思います。

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2011年10月21日 | コメント/トラックバック(0) |

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法律事務所ってどうやって選ぶ?

ずいぶん前から積極的に広告をする法律事務所が増えてきましたね。ちょっと前には考えられなかったことですが。

市民にとって法律事務所が身近になったと思いますし、選択の余地が出てきた点でいい傾向ではないかと思います。でも,はたしてどうやって皆さんは事務所を選んでるんでしょうか?オーソドックスなのは、誰かからの紹介でしょうね。これだと弁護士の人柄についてある程度予想がつきますので、なかなかいいと思います。デメリットは、紹介された以上、不満があっても遠慮してなかなか言い出せないことじゃないでしょうか。ホントは遠慮なく不安や疑問点を伝えたほうがいいんですけど。

で、他には法律事務所の場所で選ぶということも考えられます。例えば、自宅近く、勤務先近く、電車で乗り換えずに行ける、駅から近い等。確かに、事実を知っているのは弁護士ではなく依頼者でして、事実関係確認のために何度か打ち合わせをすることが必要になりますから(一度で済む場合もたくさんありますが)、場所は重要だと思います。でも,一生のことに関わる事項を依頼するんですから、場所だけで選ぶのはオススメできません。多少不便な場所にあっても、信頼できる弁護士に依頼した方がいいでしょう。

あと、広告内容から選ぶこともありますね。むしろ最近だとこの方法が一番多いんじゃないかと思います。テレビコマーシャル、ラジオコマーシャル、ネット広告、ホームページ、電車広告とかですね。電車広告なんかだと、法律事務所ばっかりな気がします。
広告で選ぶ場合、何が基準になるんでしょうか?広告でよく見かけるから?広告内容? いろいろ考えられますね。

で、結局、何を基準に選ぶのがいいかというと、弁護士の知り合いがいる人はその弁護士から紹介してもらうのがベストだと思います。法律の数は膨大で、弁護士ごとに得意分野があります。ホームページ等の広告上で得意分野を明確にしている事務所もたくさんありますが、それだけで選ぶのはちょっと問題です。裁判は長期的なものですので、得意分野(専門性)も重要ですが、弁護士の人柄も重要だからです。弁護士からの紹介であれば、紹介される弁護士の得意分野、人柄ともにある程度保証されると思います。弁護士じゃない人からの紹介であれば、本当にその弁護士がある分野に精通しているかどうかを判断するのは難しいと思います。
じゃあ、弁護士の知り合いがいない人はどうすればいいんでしょうか?この場合、広告内容のうち、得意分野だけを参考にするのではなく、その弁護士の自己紹介欄、事務所の理念、ポリシー、ブログ、Facebook、Twitterなんかもよく見て、弁護士の考え方、人柄を判断して選ぶのがいいと思います。あとは料金体系が明確かどうかですね。法律事務所、弁護士の対応を知るために、法律事務所に電話してみるのも有用です。そのときの電話対応で、事務所のカラーや雰囲気がある程度わかったりしますので。

ちょっと舌足らずなところもありますが、ご参考になれば幸いです(^O^)/

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2011年10月18日 | コメント/トラックバック(2) |

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管財人研修受けてきました。

今日は、午後から弁護士会多摩支部主催の破産管財人研修受けてきました。
破産管財人とは、わかりやすくいうと、個人、法人問わず、破産手続きで破産者の財産管理、処分をして、債権者への平等な分配を実現する人のことを指し、裁判所が弁護士を管財人に選任します。

で、今日は裁判官、書記官、管財人経験豊富な弁護士の先生の3人による講義でした。出席者数150人前後?という大盛況で、久々に3時間びっちり講義を聴いて、新鮮だった。管財人の仕事って、僕がそれまで予想していたものよりずっと奥が深いし、複雑そうでした。
いつになるのか分かりませんが、いつ管財人に選任されても慌てなくてすむように、破産法をしっかり勉強しときます( ̄^ ̄)ゞ まずは、伊藤眞先生の基本書「破産法・民事再生法」(有斐閣)を読破しなきゃと思いますが、厚すぎる本なんで先が長いです。

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2011年10月16日 | コメント/トラックバック(0) |

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パワハラ相談について

普段、事務所に相談が多い労働事件として、解雇、残業代、セクハラに続いてパワハラが挙げられます。

いろいろ話を聞いてみると、確かに明らかな嫌がらせもありますが、ほとんどの場合、パワハラに該当するか否かが微妙です。ある程度、上司から叱責されることはどんな会社でもありますし、怒鳴られた▷パワハラという図式は直ちに成立しません。
また、パワハラ案件の難しいところは、証拠が乏しいっていう点ですね。これはセクハラ案件と同じでして、証拠がないと「言った」、「言わない」の争いになって、訴訟を提起しても認められないことになります。

そんなわけで、セクハラ、パワハラともに、事前に証拠となりうるメールを確保したり、こまめに起こった事実を起こった時間、場所とあわせて詳細にメモしておく、場合によっては録音するなどの措置をとっておかないといけません。

あと、悩ましい点として、パワハラの場合、不法行為にあたると認められたとしても、総じて慰謝料の金額が低いことがあります。この点から、弁護士に依頼しても、余計にお金がかかってしまうこともあり得ます。でも,ここは、採算度外視でも、争いたいかどうかによりますね。依頼者のお気持ち次第だと思います。
相談を受ける側としては、是非戦いましょうなんて気軽には絶対言えないです。

今日はこのへんで(^_^)

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2011年10月14日 | コメント/トラックバック(0) |

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