平成最後のブログ更新

 とうとう明日から元号は令和となりますね。私は昭和の生まれですが、平成元年(昭和64年)のころはまだ小学生でした。当時、携帯電話やパソコン、インターネットがほぼ普及していなかったことに鑑みると、平成の30年間でずいぶんと世の中は便利になったものだとしみじみ感じます。
 法曹界にかぎっていえば、平成元年前後の話か否かは定かではありませんが、手書きで訴状や準備書面を作成していた時代があったようです。確かに、これらの書面を手書きで作成するとなれば、その苦労は想像を絶するものがありますね。特に、私は字が綺麗ではありませんので、私が手書きで作成した場合、それを読む相手方は大変なストレスを抱えるのではと思ってしまいます(笑)今でも、本人訴訟の場合等には手書きで書面を提出される方はたくさんおられますが、弁護士が代理人となっている事件では、手書きで提出される書面はほぼ見かけなくなりました。
 その他、平成の時代に民法や商法(会社法)が改正されて、カタカナ表記からひらがな表記に変わったことも大きな出来事だと思います。私が大学生のときはどちらもカタカナ表記でしたので、条文を読みにくいと感じていました。

 私が弁護士登録したのは平成20年12月であり、平成31年までの約10年間で法曹界で何か変わったことってあるのかなとこの機会に思い返してみました。うーん、殺人罪等の重大事件の公訴時効制度の廃止や強姦罪が強制性交等罪に変更されたこと(強姦罪の被害者は女性に限定されており、男性を被害者とする強姦罪は成立しないとされていましたが、強制性交等罪に変更されたことで男性もこの罪の被害者となりうることが明確にされました。)等の法改正ばかりが思い起こされますが、ほかには目新しい動きはなかったような…。あとは、法曹志望者(司法試験受験者)の数が劇的に減少したことやいくつもの法科大学院が廃止されたことくらいでしょうか。
 あぁ、そういえば、法律事務所の大半がホームページを開設するようになったことも大きな変化ですね。私が弁護士に登録したての頃は、ホームページを開設している法律事務所はまだまだ少数派でした。最近は、ホームページを開設して積極的に集客している事務所がたくさんあります。その意味で、法律事務所の敷居は低くなり、相談者にとって利用しやすいものになったのではと思います。

 以上、とりとめのないことばかり書いてきましたが、令和の時代には、法曹界のIT化が進むことを期待して、今日は筆をおきます。それでは、皆さま、引き続き、よきGWをお過ごしください。

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2019年4月30日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

交通事故に遭ったら

 今年も桜の季節がやってきました。私は、自宅から事務所(恵比寿)までバスで通勤することが多いのですが、その間、明治通りの桜が咲き誇る場所を通過します。通勤途中にこの桜を見て、人知れず心癒されています。桜といえば、恵比寿近辺だと中目黒の目黒川沿いの桜が有名ですが、毎年多くの人がきて混雑しますので、ここ数年は明治通りの桜を見て満足しています。

 さて、弊所では、交通事故相談も多数受けているのですが、今回は、交通事故に遭った場合に知っておいた方がよい知識を簡単にお伝えできればと思います。

 まず、交通事故に遭ったら、その場で警察と保険会社に連絡することが重要であることは言うまでもありません。その際、怪我をしていたら、可及的速やかに病院に行って診てもらうこと、警察に人身事故扱いとしてもらうことも同様に重要です。
 後日、痛みを感じて病院に行った場合や痛みがあっても我慢していて仕事をし、痛みに耐えきれなくなって病院に行った場合には、怪我と交通事故との因果関係を認めてもらえないおそれがあります(交通事故に遭った日から病院に初めて行った日までに、どの程度の期間が経過しているかが重要な判断要素となります)。
 また、事故で発生した自動車・自転車の損傷個所や怪我の部位の写真を撮っておくことや、事故の相手方の名前や連絡先を確認して記録すること(名刺をもらうこと等)も重要です。

 その上で、一般的にあまり知られていないことですが、接骨院や整骨院(柔道整復師が施術を行うところ)と整形外科は異なり、接骨院や整骨院にしか通院していない場合には、事故の相手方の保険会社から施術費用の支払いを拒否されるおそれがあります。接骨院や整骨院は、医師の同意のもとで通院することが望ましく、整形外科と接骨院・整骨院を並行して通院することをお勧めします。整形外科には最低でも月に1回は通院した方がよいです。
 通院にあたっては、痛い箇所を明確に漏らさず伝えましょう。最初に伝えていなかったところを後から伝えて治療・施術してもらっても、交通事故との因果関係が不明として費用の支払いを拒否されるおそれがあるためです。

 怪我が完治したら通院終了となりますが、そうなると事故の相手方の保険会社から示談金の提案がなされます。この示談金は、保険会社独自の基準又は自賠責保険の基準で算定されていることがほとんどで、裁判基準(弁護士基準)よりも低額であることが多いです。そのため、示談金が適切かどうか悩んだ場合(示談金の金額に納得できない場合)や事故の過失割合について納得できない場合には弁護士に相談することを検討してもらうとよいと思います。このとき、ご自身の保険に「弁護士特約」が付いていれば、大きな事故で損害額が多額になる場合を除いて、弁護士費用を自己負担することなく相談・依頼できますので(弁護士特約によって保険会社から支払われます。)、積極的に相談することを検討しましょう。

 他方で、怪我が完治せず、「これ以上治療しても治療効果が出ない状態(怪我が改善しない状態)」に至った場合を「症状固定」といい、この場合には後遺障害認定の申請をすることを検討することになります。このとき、後遺障害診断書を医師に作成してもらうことが必要となりますが、同後遺障害診断書は後遺障害認定にあたって極めて重要なものですので、しっかりと医師に自己の症状を伝えるようにしてください。

 なお、交通事故に遭った場合の通院費用は必要かつ相当な範囲に限られ、いわゆる「過剰診療」は認められません。わかりやすい例でいうと、自動車同士の追突事故で、追突時の速度が時速5キロ未満と遅く、自動車の損傷の程度も小さいにもかかわらず、痛みがあるからという理由で長期間通院を続けても、特段の事情がない限り、その期間の通院費用を認めてもらえない可能性が高いといえます。

 以上、ざっと書いてきましたが、このブログを見ていただいている方の参考になれば幸いです。

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2019年4月2日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

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