ようやく発売された改訂版

 前回の更新に続けて、早いペースでの更新です。

 さて、今回、私が以前にこのブログで何度かおすすめしたことがあるリーガル・プログレッシブシリーズの1冊である「労働関係訴訟」(青林書院)の改訂版が発売されたので、ちょっと嬉しくなって更新しようと思った次第です。

 改訂前のものは、2010年3月に発売されていたので、実に10年半年ぶりの改訂となります。著者の渡辺弘さんは東京地裁労働部の元部長(元裁判官)ですので、上記書籍の信頼性は高いと思います。実際、旧版を読んでいてとても勉強になりましたし、役にも立ちました。

 そんな上記書籍が、この度の改訂で、ボリュームをアップして、2分冊となって登場しましたので、労働事件に携わる弁護士(特に新人の弁護士)には以前と同様に強くおすすめしたいと思います。

 なお、2,3年おきに改訂されるとなると買い替えに若干躊躇してしまうのですが(ほぼほぼ内容に大差がない改訂もありますので)、今回のように10年ぶりでの大改訂となると気持ちよく買い替えることができますね(笑)。


 



 

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2021年12月20日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

侮辱罪で在宅起訴?

 ここ最近仕事がなかなか終わらないのですが、今日は久々に深夜まで事務所に残って仕事をしています。
 そんな中、ふとインターネットを見ていたら、飛行機内でマスクの着用方法を注意された67歳の男性が注意した女性に向かって「コロナみたいな顔してからに」と言い放ったという事案で、男性が在宅起訴されたというニュースを目にしました。

 ニュースによれば、男性は否認しているとのことですので、罪を認めていることを前提になされる略式起訴という手続をとることはできません。したがって、検察としては、不起訴処分とするか起訴するかの二者択一しか選択肢がないことになり、上記の事案では、十分な証拠があって犯罪を立証できる,男性の犯情は悪い(注意を受けたことに逆上して、他人に対して「コロナみたいな顔」って言うのは、無礼すぎますからね。)ということで起訴されたものと考えます。

 上記について、侮辱罪で起訴されるのは珍しいなぁと気になって調べてみたら,今年の9月に侮辱罪の法定刑を現行の「拘留・科料」から「1年以下の懲役若しくは禁固又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げる刑法改正案が法務大臣に提出されていたことを知りました。上記の在宅起訴の背景にはこの厳罰化の流れも関係しているのかもしれません。

 確かに、拘留(30日未満の身柄拘束)と科料(1000円以上1万円未満の財産刑)という刑罰は上限が軽すぎるように思いますので、改正には反対しませんが、個人的には、厳罰化よりも、侮辱行為によって被った精神的苦痛に対する慰謝料の金額を増額した方が侮辱行為を効果的に抑制できるのではないかと思っています。実際には,侮辱されたといって告訴しても,よほどの証拠(録音,録画、目撃者,SNS上のメッセージ等)がない限り,警察は簡単に捜査してくれないと思うからです。
 
 現状,侮辱された場合の慰謝料額は低廉にとどまっておりますので,弁護士に依頼して民事訴訟を提起し、慰謝料の回収を図ろうとしても,弁護士費用の方が慰謝料よりも高くつくことが多いという事情があります。そのため,侮辱を受け,その確たる証拠を有していても,泣き寝入りせざるを得ないという人は相当数おられると思います。慰謝料を高額化すれば,このような泣き寝入りの事態を減らすこと,侮辱行為の抑制につながると思いますが,他方で,表現行為の委縮にもつながりかねないところなので、単純に慰謝料の高額化を図るわけにはいかないのが悩ましいところです。
 実際には,侮辱行為に該当するか否かの判断が難しい表現はたくさんありますからね。

 こんな風にいろいろ考えてこのブログを書いていたら、時間が思いのほか経過していたので、今日はこのへんにしときます。

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2021年12月17日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

シニア人材という希望

 今年も残すところ、あと1か月となりました。ようやくコロナも収束だなと思っていたところに、オミクロン株が新たに発生し、既に日本に上陸している(感染者が出た)というニュースを見て、残念な気持ちになりました。しばらくすると再び、自粛生活に戻らざるを得ないかもしれませんね。

 さて、今回、あるご縁で中原千明さん著の「シニア人材という希望」(幻冬舎)という本を読みました。
 今後の高齢化社会を見越して、60歳以上の方(シニア人材)を雇用して事業をうまく展開していくにはどうすべきか?という点を中心に、シニア人材の特徴や問題、考え方について切り込んで述べられており、シニア人材の採用のみならず若手人材の採用にあたっても役に立つ知識が書かれています。
 著者自身が、シニア人材を積極的に採用して事業を展開しておられるので、その話には相当な説得力があります。

 なるほどな~と思いながら読み進めていましたが、ふと、「そういえば弁護士業界には定年ってないよな?」と思い、いろいろと考えました。法律事務所は弁護士1~数名による個人・共同経営のところがたくさんあり、弁護士個々人は個人事業主という立ち位置なので、基本的に「定年」っていうのはないんですよね(弁護士法人所属の弁護士についてはさておきます)。それを喜ばしいこととみるかどうかは人それぞれだと思うのですが、私は、やる気さえあれば、60歳以上になっても働き続けて活躍できるという点も弁護士業の魅力の一つではないかと思いました。

 上記の著書にも書いてありましたが、何歳になっても、やりがいのあることをしたいという人は多いはずです。そして、弁護士業は一生懸命取り組めばとてもやりがいを感じることができる仕事ですので、いくつになっても働いて社会に貢献したい、誰かの役に立ちたいという気持ちのある方については、弁護士を目指すというのは有力な選択肢になるのではと思います。
 もちろん、年々法律は改正されますし、裁判例も増えていきますので、自己研鑽としての勉強を続けることは不可欠ですが、それを楽しめる方にとっては弁護士は向いている職業だと思います。

 さて、私はいつまで弁護士を続けることができるのかわかりませんが、気力と体力が続く限り続けたいですね。
 

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2021年12月2日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

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