交通事故の過失割合

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今年もいつの間にか9月になってしまいました。若干涼しくなってきたかなと感じています。
バイクについては、まさにオンシーズンですので、久しぶりにどこかに行きたいと思っています。結局、毎年恒例ですが、今年の夏も北海道ツーリングは実現しませんでしたので。

さて、今日は、前回に引き続き、交通事故について書きたいと思います。琥珀法律事務所の取扱事件のうち、交通事故事件が急増しており、その案件対応の中で依頼者から質問を受けることが多い過失割合について、簡単に説明できればと思います。

まず、過失割合は、事故状況から大枠の見通しをつけ、個別具体的な事情を踏まえて修正する流れで検討することになります。
このときに真っ先に参考にするのは、別冊判例タイムズ38の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)です。法曹実務、保険実務において、交通事故の過失割合を検討する際に参考にされる本であり、交通事故事件を取り扱う弁護士や保険会社の交通事故担当者にとって、この本は必須といえます。交通事故事件を多く取り扱う弁護士業界で、略して「別冊判タ」、「判タ」などと呼ばれている本です。
別冊判タでは、「歩行者と四輪車・単車との事故」、「歩行者と自転車の事故」、「四輪車同士の事故」、「単車と四輪車の事故」、「自転車と四輪車・単車との事故」、「高速道路上の事故」、「駐車場内の事故」の7つに事故類型が大きく区分されて、各事故類型の典型的な事例についての過失割合が示されています。

まずは、別冊判タを参照にして、どの事例に当てはまるのか、もしくは、どの事例に類似しているかを判断し、それをベースに各種修正要素(速度違反やウインカー不点灯、徐行なし、大回り右折、直近右折、歩行者の年齢(児童、高齢者)などの事情)を考慮して最終的な過失割合を判断することになります。
しかし、別冊判タがすべての事故類型(事故のパターン)を網羅しているわけではなく、当然に、別冊判タに掲載されていないパターンの交通事故も多数存在します。このときは、上記のように、別冊判タの中のどの事例に近いのか(類似しているのか)をまず判断するのですが、類似の事例がない場合には、裁判例を検索して調べたり、その他の交通事故の過失割合に関する書籍を調べたりして、個別に過失割合を検討することになります。この作業はけっこう大変で、膨大な裁判例がありますので、それなりに時間がかかってしまいます。

そのうえで、弁護士は、上記で判断した過失割合に関する見通しを依頼者に伝えるのですが、依頼者の認識とのズレが生じることも珍しいことではありません。確かに、実感として、なぜこの過失割合になるのかと疑問に思う場合も少なくなく、依頼者の気持ちも理解できるところですが、最終的には、実務上はこうなるとしか説明できないのが辛いところです。
また、算定した過失割合が妥当だとしても、事故の相手方がその過失割合に納得せず、スムーズに解決に至らないこともよくあります。この場合には、早期解決を優先して、互いに歩み寄りをするか、交渉での解決は不可能と判断し、訴訟等の手続に移行させるかを判断することになります。

以上、今回は、過失割合の算定について簡単に解説してみました。事故に遭ってこのブログを見た方の参考になれば嬉しく思います。

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