駐車場内の交通事故

気づいたら3月ももうすぐ終わりそうです。もうすぐ4月で、桜の季節ですね。ここ数年、桜を見に行っていないので、今年はバイクで桜の名所に行ってみたいと思う一方で、相変わらず仕事に追われていて、そんな暇ないなという現実がありまして、あぁ、どうしたものかと悩みます。
年明けから、ゴルフにはよく行っているのですが、そうすると、ほかに休みをとっている余裕がないというのは至極当然とも思えるところでして。お花見はゴルフの帰りに行くしかないかなと思いますね。

さて、今日は、相談の多い、駐車場内の事故(交通事故)について、簡単に解説しようと思います。
駐車場内の事故については、通路進行車、駐車区画進入車、駐車区画退出車という3つのいずれかに自動車を区分した上で、過失割合を算定していきます。このときに参考になるのは、もちろん、別冊判例タイムズ38(民事交通訴訟における過失相殺率の」認定基準)ですが、基本となる過失割合のケースが合計5つしかないので、これだけでは実際に生じた駐車場内事故について、個別具体的に過失割合を算定するのが難しいといわざるを得ません。
そのせいもあってか、交通事故相談において、駐車場内事故についての相談を受けることがよくあります。

まず、原則として、1⃣通路進行車同士の事故の場合、過失割合は50対50、2⃣通路進行車と駐車区画退出車の事故の場合、過失割合は30対70、3⃣通路進行車と駐車区画進入車の事故の場合、過失割合は80対20、4⃣歩行者と自動車の事故の場合、過失割合は10対90になります。

駐車場は、あくまで駐車のための施設であり、通路から駐車区画に進入することは駐車場の設置目的にかなう行為であるという理由により、駐車区画進入車が最も優先され、通路進行車、駐車区画退出車よりも、過失割合が低くなります。
それならば、駐車区画退出車の方が通路進行車よりも優先される(過失割合が低くなる)のでは?という疑問を抱く方もいると思いますが、駐車区画退出車は、通路に進入する前の段階で駐車区画内に停車していることから、通路進行車よりも容易に安全を確認し、衝突を回避することができるはず、という理由により、駐車区画退出車の方が通路進行車よりも重い注意義務が課され、その過失割合は高くなるというわけです。

それでは、駐車区画進入車同士の事故や駐車区画退出車同士の事故の場合、駐車区画進入車と駐車区画退出車の事故の場合の過失割合はどうなるのでしょうか。
これらについて、5⃣駐車区画進入車同士の事故と6⃣駐車区画退出車同士の事故の場合、課されている注意義務はそれぞれ同じですので、過失割合は50対50となるのが原則と思われます。
次に、7⃣駐車区画進入車と駐車区画退出車の事故の場合、上記のとおり、駐車場内では駐車区画進入車が最も優先されますので、駐車区画進入車よりも駐車区画退出車の方が過失割合は高くなります。では、その過失割合はどうなるか?と問われると難しいところですが、原則として20~30対80~70になるのではと思います(あくまで私見です。)。

しかし、上記はあくまで基本的なケースを想定したものであることに注意しなければなりません。いずれの車両が先行していたのか、通路の広さはどうか、徐行していたかどうか、見通しはどうか等の個別具体的な事情によって過失割合は変わることを意識しておく必要があります。

なお、相談において、「こちらは停止していたのに、相手が衝突してきた。だから過失はない。」といった相談を受けることがよくありますが、衝突する数秒(1~3秒)前に停止しても、それは直前停止といって、過失割合を減ずる要素としてはほぼ考慮されません。また、直前停止にはあたらないとしても、停止位置が悪いということにより、過失があると判断されることもあります。例えば、駐車区画の枠にはみ出る形で停車していたような場合ですね。

ということで、簡単に解説してみましたが、最終的には、裁判例等を踏まえて個別具体的に過失割合を判断(推認)していくことになることが多いので、過失割合について納得がいかないという場合には、弁護士に(できれば複数の弁護士に)相談して見解をうかがってみることをお勧めします。

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2025年3月29日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

訃報

 最近、どうやら夜型人間に戻りつつあり、午後に出勤して翌日午前(深夜)まで働くという勤務を繰り返しています。
 朝の方が頭が冴えている、深夜の何倍もはかどる、という話をよく耳にするので、このような深夜型の勤務はよくないのかもしれません。ただ、実際には、深夜ゆえに静寂の中で集中できるというメリットもあるのではないかと思います。さすがに、深夜に事務所の電話が鳴ることはなく(ごくたまに電話があって、応答して法律相談に対応することもありますが)、電話で集中力が途切れることがないのはありがたいところです。
 とはいえ、午前5時から午前8時の早朝勤務も同様に静かなので、集中したいなら、早朝に来て夕方に帰るべし、というツッコミを受けてしまいそうです(笑)。

 さて、ここから本題ですが、最近、京都大学法学部の潮見佳男教授が急性心不全により逝去されたというニュースを見ました。潮見先生といえば、民法の大家でして、私が司法試験受験生だった頃は、潮見先生の基本書と内田先生の基本書が受験生に大人気だったことを思い出しました。どちらかといえば、要件事実を意識した書きぶりの潮見先生の基本書の方が人気が勝りつつあったくらいだと記憶しており、私は新世社の「基本講義 債権各論Ⅰ」と「基本講義 債権各論Ⅱ 不法行為方」を愛用していました(どちらも基礎から優しく解説してくれています)。そして、司法試験に合格してからも潮見先生の著作を参考にすることはよくあり、とてもありがたかったです。
 信山社の「プラクティス債権総論」はとてもわかりやすくて、受験生から実務家まで幅広く利用できるものですし、債権法の分野でいろいろ調べてもよくわからないときは、同じく信山社から出ている法律学の森シリーズ(「新債権総論1」、「新債権総論2」、「新契約各論1」、「新契約各論2」など)を読んでみたりしています。余談ですが、私が受験生だったときに、「法律学の森シリーズは難しすぎて、森に迷い込むから読まないほうがいい」と某先生から言われたことがあります(笑)。

 最近、「詳解 相続法」の第2版が発売されたばかりなので、お亡くなりになったというニュースを見ても実感が湧かないのが正直なところです。そもそも、潮見先生と面識はなく、あくまで文献を通して私が一方的に存在を知っているだけなので、実感が湧かなくて当然かもしれません。
 いずれにせよ、とても残念です。潮見先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

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2022年8月25日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

労働法関連書籍の改訂が目白押しです

 再び、コロナ感染者数が急激に増大しつつありますね。一体いつになれば落ち着くのかと思いますが、ここが踏ん張りどころなんでしょう。

 さて、これまでにこのブログで、令和3年版労働基準法の上巻と下巻、リーガル・プログレッシブシリーズの労働関係訴訟ⅠとⅡが改訂され、いずれも労働問題を取り扱う弁護士にとって有用とお伝えしました。

 そんな中、日本労働問題弁護団編著の「新・労働相談実践マニュアル」が発売されました。この書籍はかなり前に発売されて改訂を繰り返しているものでして、とても信頼性のある書籍です。そういえば、私が弁護士になって間がないときに、改訂前のものを購入し、労働事件を解決するにあたって何度も目を通した思い出があります。この本と日本労働問題弁護団編著の「労働審判実践マニュアル」、菅野和夫先生の「労働法」(弘文堂)でなんとかやれていたといっても過言ではありません。

 日本労働問題弁護団編著の上記書籍は、東京では裁判所の地下の書店や弁護士会館の地下の書店で売られていますが、それ以外の都道府県ではなかなか見つからないかもしれません。欲しい人は、日本労働問題弁護団のホームページから購入を申し込むとよいと思います。この本も、労働問題を取り扱う弁護士にとって有用です。

 それにしても、労働法関係の重要書籍の改訂が相次いでいますね。事務所で購入する場合はさておき、弁護士個人で購入するとなるとけっこうな値段となるので、ちょっと大変かもしれません。同じ事務所の弁護士で買い分けするなどしてもいいかもしれませんね。

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2022年1月21日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

労働事件をやるなら買いだと思う。

 今年は、昨年に続いて労働事件を扱う実務家にとって重要な本の改訂が目白押しな感があります。
 というのも、以前にブログで紹介したリーガル・プログレッシブシリーズの「労働関係訴訟」が久々に改訂されたのに引き続き、同様に実務家が労働事件を取り扱うにあたって指標となる労務行政発行の「労働法コンメンタール」も改訂・発売されたからです。

 上記の本の正式名称は「令和3年版 労働基準法 上巻」と「令和3年版 労働基準法 下巻」であり、厚生労働省労働基準局が編集している点で信頼性がとても高いと思います。労働基準法のコンメンタールはほかにも発売されていますが、国(行政)がどういう見解に立っているのかを確認する意味でも有用な書物です。お値段はどちらも税込み約7500円となかなかお高いのですが、滅多に改訂されないので、買っておいて損はないと思います。なお、改訂前のものは「平成22年版 労働基準法」の上下巻でした。実に11年ぶりの改訂なわけです。

 労働事件に興味のある修習生や労働事件を取り扱う事務所に入所予定・入所した修習生・新人弁護士の皆さんには強くお勧めしたいと思います。

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2022年1月11日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

ようやく発売された改訂版

 前回の更新に続けて、早いペースでの更新です。

 さて、今回、私が以前にこのブログで何度かおすすめしたことがあるリーガル・プログレッシブシリーズの1冊である「労働関係訴訟」(青林書院)の改訂版が発売されたので、ちょっと嬉しくなって更新しようと思った次第です。

 改訂前のものは、2010年3月に発売されていたので、実に10年半年ぶりの改訂となります。著者の渡辺弘さんは東京地裁労働部の元部長(元裁判官)ですので、上記書籍の信頼性は高いと思います。実際、旧版を読んでいてとても勉強になりましたし、役にも立ちました。

 そんな上記書籍が、この度の改訂で、ボリュームをアップして、2分冊となって登場しましたので、労働事件に携わる弁護士(特に新人の弁護士)には以前と同様に強くおすすめしたいと思います。

 なお、2,3年おきに改訂されるとなると買い替えに若干躊躇してしまうのですが(ほぼほぼ内容に大差がない改訂もありますので)、今回のように10年ぶりでの大改訂となると気持ちよく買い替えることができますね(笑)。


 



 

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2021年12月20日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

侮辱罪で在宅起訴?

 ここ最近仕事がなかなか終わらないのですが、今日は久々に深夜まで事務所に残って仕事をしています。
 そんな中、ふとインターネットを見ていたら、飛行機内でマスクの着用方法を注意された67歳の男性が注意した女性に向かって「コロナみたいな顔してからに」と言い放ったという事案で、男性が在宅起訴されたというニュースを目にしました。

 ニュースによれば、男性は否認しているとのことですので、罪を認めていることを前提になされる略式起訴という手続をとることはできません。したがって、検察としては、不起訴処分とするか起訴するかの二者択一しか選択肢がないことになり、上記の事案では、十分な証拠があって犯罪を立証できる,男性の犯情は悪い(注意を受けたことに逆上して、他人に対して「コロナみたいな顔」って言うのは、無礼すぎますからね。)ということで起訴されたものと考えます。

 上記について、侮辱罪で起訴されるのは珍しいなぁと気になって調べてみたら,今年の9月に侮辱罪の法定刑を現行の「拘留・科料」から「1年以下の懲役若しくは禁固又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げる刑法改正案が法務大臣に提出されていたことを知りました。上記の在宅起訴の背景にはこの厳罰化の流れも関係しているのかもしれません。

 確かに、拘留(30日未満の身柄拘束)と科料(1000円以上1万円未満の財産刑)という刑罰は上限が軽すぎるように思いますので、改正には反対しませんが、個人的には、厳罰化よりも、侮辱行為によって被った精神的苦痛に対する慰謝料の金額を増額した方が侮辱行為を効果的に抑制できるのではないかと思っています。実際には,侮辱されたといって告訴しても,よほどの証拠(録音,録画、目撃者,SNS上のメッセージ等)がない限り,警察は簡単に捜査してくれないと思うからです。
 
 現状,侮辱された場合の慰謝料額は低廉にとどまっておりますので,弁護士に依頼して民事訴訟を提起し、慰謝料の回収を図ろうとしても,弁護士費用の方が慰謝料よりも高くつくことが多いという事情があります。そのため,侮辱を受け,その確たる証拠を有していても,泣き寝入りせざるを得ないという人は相当数おられると思います。慰謝料を高額化すれば,このような泣き寝入りの事態を減らすこと,侮辱行為の抑制につながると思いますが,他方で,表現行為の委縮にもつながりかねないところなので、単純に慰謝料の高額化を図るわけにはいかないのが悩ましいところです。
 実際には,侮辱行為に該当するか否かの判断が難しい表現はたくさんありますからね。

 こんな風にいろいろ考えてこのブログを書いていたら、時間が思いのほか経過していたので、今日はこのへんにしときます。

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2021年12月17日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

最近おすすめの法律本

 今日は快晴だったので久しぶりにバイクに乗って出勤しました。暑さが厳しかったですが、やはり気持ちいいものですね。

 さて、最近、けっこう実務の役に立つなと思っている本があります。京野哲也先生、林信行先生編著の「Q&A 若手弁護士からの相談374問」(日本加除出版株式会社)です。
 私は執筆者の先生方とは一切面識なく、また、日本加除出版の回し者でもありません(笑)。純粋に私の主観ですが、上記の本は、「痒い所に手が届く」という感じがします。私は弁護士11年目ですが(もはや若手とはいえない)、読んでいて本当に勉強になりますね。
 上記の本は、若手弁護士からのよろず相談に回答してきた実績をまとめたものらしいですが、そのためか、質問内容も実践的なものですし、それに対する回答も経験に基づいた的確なものだと思います。

 若手の先生は、一冊買っておくとよいのではと思いますね。最近のイチオシ本です。

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2019年8月17日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

令和元年司法試験

 仕事の合間に弁護士ブログを読んでいたら、今日から5月19日まで司法試験が実施予定と知りました。記念すべき令和元年の司法試験ですね。
 
 私が受験したのは平成19年だったと思いますので、10年以上前になります。あれから、試験の内容そのものもいろいろと変更になりました。平成19年当時は、択一試験は基本六法+行政法だったのですが、今は旧司法試験と同じく憲法・民法・刑法の3科目だけになっています。また、平成19年当時の論文試験は、公法系・民事系・刑事系に大きく分かれ、各分野の融合問題を出題するという内容だったため、公法系と刑事系は確か4時間連続の試験だったと思います。他方で、民事系はさすがに6時間連続はキツイだろういう配慮から?民法と民事訴訟法で4時間、商法で2時間だったと思います。しかし、今は、各科目2時間ずつとなっていますね。この点も旧司法試験と同様です(旧司法試験は各科目2時間で2問ずつ出題されていました。)。
 そうなると、出題形式(問題文が長い、事実認定がある等)の点の違いを除けば、新司法試験は旧司法試験に戻っているように思います。そうなると、あえて新司法試験とせずとも、旧司法試験のままで合格者数を増やせばよかったんじゃないか?なんてツッコミが入りそうですね。まぁ、受験回数制限の有無が最大の違いでしょうけども(旧司法試験には受験回数制限はありませんでした)。

 いずれにせよ、今年の受験生の皆さん、最後まで頑張ってください。今の試験に通用するかどうかわかりませんが、私の経験上、普段と異なることをしないこと、途中答案を出さないこと、問題文の誘導にきちんとのっかること(問題文を読み間違えないこと)、論述にメリハリをつけること(些細な争点で法律論を大展開する等の方法は控えるべきでしょう。)、試験が終わった科目のことは忘れること等の点に気をつければ、それだけで相対的によい答案になると思います。
(私自身は、恥ずかしながら、途中答案に近い答案を出し、最初の科目で失敗して後に引きずり、普段と異なって自分の書くスピードを度外視してたくさん書こうとして時間不足になり、問題文を読み落とすという失敗をしてしまいましたが、それでも合格できましたので、大きなミスをしなければ落ちないという程度の気持ちでリラックスして受験するのがよいと思います。)

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2019年5月15日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

労働法のおすすめ本(弁護士向け)

 お盆真っ最中ですが、まだまだ暑さが厳しいですね。
この時期は、期日もあんまり入らないため、溜まった仕事(起案)に集中できたりして、けっこう落ち着いて過ごせています。

 さて、今回は、久々に労働法について書こうと思います。あいかわらず、当事務所では、労働関連事件を相当数受任しており(昔と異なるのは、労働者側
だけでなく使用者側でも担当することが増えたことです。)、その解決にあたって日々いろいろな裁判例や文献を参照しています。
 で、今回は、確か以前にこのブログで書いたことがあるのですが、実務家(弁護士)が労働事件を担当するにあたってお勧めの本を紹介できればと思っています。
というのも、前回書いたときから数年経過しており、その間にわかりやすい本がたくさん発売されたからです。
 なお、以下はあくまで私の主観でしかありませんので、あしからず。

 まず、労働事件をやる場合、疑問に思った点について、初めに手に取って確認するのは、菅野和夫教授の「労働法」(最新のものは第十一版補正版ですね。)(弘文堂)になりますね。水町勇一郎教授の「労働法」(第7版)(有斐閣)や荒木尚志教授の「労働法」(第3版)(有斐閣)、土田道夫教授の「労働契約法」(第2版)(有斐閣)といったそれなりにボリュームがあってわかりやすい基本書がいくつも刊行されていますが、いまだに菅野和夫教授の労働法が実務に与えている影響は絶大だと思います。鉄板ですね。

 次に、労働事件を(主に)使用者側の立場で多数担当されている岩出誠弁護士の「労働法実務体系」(民事法研究会)もわかりやすくて、参考になります。こちらは、裁判例の引用が豊富で調べるとっかかりになります。

 以上に加えて、山川隆一教授・渡辺弘裁判官編著の「最新裁判実務体系 労働関係訴訟Ⅰ~Ⅲ」(青林書院)、白石哲裁判官編著の「裁判実務シリーズ 労働関係訴訟の実務」(第2版)(商事法務)、佐々木宗啓裁判官ほか編著の「類型別 労働関係訴訟の実務」(青林書院)、渡辺弘裁判官著の「リーガルプログレッシブ 労働関係訴訟」(青林書院)あたりを読めば、ほとんどの事件について(知識面に限っては)解決の糸口が見えると思います。中でも、「類型別 労働関係訴訟の実務」は、事件を担当していて疑問に思う点について、Q&A方式で丁寧に解説されていて、とてもわかりやすいです。個人的には、これは名著だなと思いました。
 これらの書物は、いずれも地裁労働部勤務経験のある裁判官が主に執筆しており、学者が執筆している基本書には書かれていないような実務的な話に分量を割いて書かれていたりしますので、労働事件をやる弁護士は必読だと言っても過言ではありません。
 あと、山口幸雄裁判官ほか編著の「労働事件審理ノート」(第3版)(判例タイムズ社)もはずせませんね。これを読めば、労働事件の要件事実の基礎を勉強できます。

 以上、労働事件をこれから担当される弁護士になりたてのみなさんの参考になればと思います。なんだかんだで何冊も挙げていますが、特定の分野を調べるだけなら、さっと目を通せますので、「多すぎて読めない」ということはないと思います。
 

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2018年8月13日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事 法律学

とうとう民法が大改正されますね。

 私が司法修習生だった約9年前から、「民法が大きく改正される」という話題が出ていました。しかし、その後、なかなか
内容がまとまらないのか、改正されないままに今日まで来ましたが、今日ようやく改正民法法案が参議院でも可決され、成立することになりましたね。施行がいつになるのか気になりますが、公布から3年以内らしいです。

 このような大改正があったとき、私達法曹関係者は、当然ですが、改正民法の内容を把握しなければならず、仕事の合間に勉強することになります(2,3年後の司法試験受験生も同様ですね)。
 もっとも、私は、けっこう法律の基本書を読むのが好きなので、この作業自体は全く苦ではありません。一番ネックなのは、これから発売される民法の基本書、コンメンタール等を買い足さなければいけないということですね。けっこうなお金がかかるわけで…。

 これから、しばらくは民法の解説本をたくさん読んで知識を補充していきたいと思います。ちなみに、直近で発売された書籍には、旧民法と改正民法が併記されているものもありますね。利用者のふところに優しくて嬉しい限りです。

 

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2017年5月26日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

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