愛犬コテツとリョウマ

示談交渉のタイミング

 被害者のある犯罪(窃盗、詐欺、強姦、強制わいせつ、迷惑防止条例違反(いわゆる「痴漢」が多い))ですと、被疑者又はその親族に資力があり、かつ、罪を認めている場合には、被害者に示談を申し入れることが多いです。

 示談するにあたって、被害者が被疑者の知り合いでない限り、被害者の連絡先がわかりませんので、捜査担当の検察官に対して、被害者と示談したい旨申し伝えて、被害者の意向(弁護士と会うつもりがあるか、弁護士に連絡先を教えてよいか)を確認してもらい、検察官に連絡先を教えてもらうことになります。

 ここで、どのタイミングで示談交渉を申し入れるかということが実はけっこう難しい。起訴前に示談を成立させるのがよいので、できるだけ早く示談交渉を開始するのが原則ですが、例えば、被疑者が罪を認めていても犯行態様等の点で被害者の供述と一致していない場合には、すぐに示談交渉してもうまくいかないことが多々あります(被疑者の供述が被害者の供述と一致していない場合、被害者に「被疑者が真に反省していない。」と捉えられることがあります。)。こういう場合には、示談の仕方や時期について一定の配慮が必要となります。

 最近でも、被疑者と被害者の供述が不一致(ただし、被疑者は罪を認めている。)の事件について、被害者と連絡をとって示談交渉しましたが、うまくいきませんでした(被害弁償金も受け取ってもらえませんでしたが、最終的には被害弁償金を供託して処分保留釈放(不起訴の見込み)となりました。)。
 こういう事件では、供述に不一致がある原因(理由)を分析した上で被害者に説明して納得してもらえるかどうか(供述の不一致が直ちに「被疑者が反省していないこと」には結びつくものではないことをわかってもらえるかどうか)が重要になります。

 こうしてみると、示談交渉といっても一筋縄でいかないものだなと我ながら実感します。

2012年5月21日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

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「猫弁」読みました。

先日、ブログで紹介した「司法占領」に続いて、弁護士が主役の物語「猫弁」(大山淳子著 講談社文庫)を読みました。TBSでドラマ化されて、現在放映中のようです。

こちらの本は、著者が弁護士ではないので、法曹関係者にとってはやや物足りない感じを受けるかもしれません。私は、弁護士業務を中心に取り上げた物語かな?と勝手に想像してましたが、中身は身代金請求事件に恋愛を絡めた感じ。意外な結末は面白かったですけど、読んでいて「そういうの、あるある」とは思えなかったです。弁護士の実態を捉えた物語ではないですね。猫より犬派の私は続刊として「犬弁」の発売を密かに期待しています。もちろん登場する犬は私が愛してやまないフレンチブルドッグで(笑)

さて、今週、来週と忙しさがピークを迎えそうです。今週は2日続けて自宅に戻れませんでしたが、担当していた被疑事件2つ(詐欺と暴行)が両方とも処分保留釈放となり、起訴、略式起訴を免れましたのでよかったです。実は、3日前は夜に始まった示談交渉が長引いて自宅から遠く離れた町で終電を逃し、帰宅できなかったわけですが、勾留満期直前で示談が成立して処分保留釈放につながったことを思うと不思議と疲れを感じないです。
このまま来週も頑張ります。


2012年5月19日 | コメント/トラックバック(0) |

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「司法占領」読みました。

接見に行く途中の移動時間を利用して、鈴木仁志先生著「司法占領」(講談社文庫)を読みました。

弁護士大増員の未来を舞台にした小説でして、フィクションですがあり得なくもない未来に関心を抱きながら読んでました。外資系事務所については周囲の友人から伝え聞くくらいですが、聞いた話とけっこう似ていて、外資系事務所の多忙さをよく描いていると思います。法律を知らなくてもスイスイと読めますので、興味のある方はご一読されるとよいと思います。

そういえば、最近、巨額の詐欺事件(被害金額は1億円以上)で弁護士が逮捕されましたね。(<詐欺容疑>弁護士を逮捕 1億7000万円だまし取る (毎日新聞) – Yahoo!ニュース)。借金返済のためという動機らしいですが、何故にこんな大金が必要となるほどの借金(3億円以上らしいです。)を抱えたのかが気になります。事件が減ったというような事情ではないでしょう。起訴されるのは間違いないでしょうから刑事裁判を傍聴してみたいのですが、さすがに出張でも入らない限り、福岡地裁までは見に行けません。でも、気になるなぁ‥。




2012年5月14日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

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国家総合職試験(択一式)の結果

 昨日は、国家総合職の第一次試験(択一試験)の合否発表がありました。大卒法律区分に限ってみると、受験申込者が9532人に対して合格者は777名ですから、かなり厳しい試験であることは明らかですね。

 某掲示板を見ていると、ボーダーラインは法律科目の傾斜後だと62点、傾斜前だと51点というところでして(某掲示板の情報の信用性にそもそも疑問がありますが…)、予想より高かったというのが正直なところです。私が縁あって指導していた受験生は素点で47点、傾斜後60点で不合格となってしまいましたので、少なくとも傾斜後の点数でいえば61点以上でしょう。

 合格されたみなさんは、このまま気を抜かずに論文試験まで頑張って欲しいと思います。今回、残念ながら不合格となった方々は、浪人して来年も受験するのか、新たな進路を目指すのかで悩まれていると思いますが、そこは家族や友人、大学の指導担当教授らに相談して後悔のない決断をしてほしいと思います。
 個人的には、私と縁のある受験生が不合格となり、少なからずショックを受けているところです。早くても明日いっぱいはこのことが頭から離れそうにもありません。

 

 

2012年5月12日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

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気がかりだった事件

 本日、担当しているある刑事事件の判決がありました。検察側の求刑が3年6か月というものでしたので、もしかしたら実刑になるかもと心配しながら日々過ごしてましたが、懲役3年で執行猶予が付されて胸のつかえがとれました。弁護人にとっても実刑判決が下されることは辛いことで、自白事件であれば起訴後は執行猶予が付されるように、ひたすら情状弁護活動に取り組むことになります。

 さて、上記の事件は今日で終了しましたが、最近新たに裁判員裁判対象事件を担当することとなり、今まで以上に緊張感をもって取り組んでいます。また、否認事件も数件担当していますので、しばらく忙しい日々が続きそうです。

2012年5月10日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

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憲法のオススメ本

最近、憲法の基本書をよく読んでます。王道は、やはり芦部憲法だと思いますが、痒い所に手が届く感があるのは高橋和之先生の「立憲主義と日本国憲法」(有斐閣)です。
通説とは異なる見解に立たれている箇所がいくつかありますが、非常に分かりやすく論じられていて読みやすいと思います。今後は、この本が司法試験、ロースクール入試、公務員試験対策の基本書としてメジャーになる予感がします。
統治機構の部分をもう少し詳しく書いてあれば嬉しいんですが‥(あと100頁くらい増量して欲しいですね。)




2012年5月8日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

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否認事件の刑事弁護はやっぱり大変。

昨日までいろいろ仕事していましたが、今日はある程度ゆっくりと過ごせそうです。(刑事事件の)否認事件を抱えていますから、気を抜けませんけど。

一般論ですが、否認事件の場合には捜査機関側が被疑者を自白させるために取り調べにおいていろいろな圧力をかけてくることが実際にあるようですので、被疑者の様子を確認し、連日長時間の取り調べに心が折れかかっている被疑者に適宜的確なアドバイスをするためにも足しげく接見にいく必要が状況次第ではあります。「やっていないんだったら、認めるはずがない(虚偽の自白をするはずがない)」なんて言われがちですが、これまでにあった複数の冤罪事件に鑑みると、このような思考方法は危険であることが自ずとわかるはずです。被疑者がやっていなくても罪を認めることはあり得るところでして、万が一にもそのようなことにならないように弁護士は活動しないといけません。

というわけで、接見要望があれば休日返上で頑張りたいと思います。






2012年5月5日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

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夜行バスの安全性

ゴールデンウイーク中に関越道で居眠り運転が原因と見られるバスの事故が発生しました。死傷者数が多数の痛ましい事故でした。

私は、実は京都、東京間を夜行バスで行き来することが多いんです。夜行バスのメリットとしては、費用が新幹線の半分くらいであること(3列シートか4列シートか、またバス会社の種類によって異なりますが)、早朝に到着できるので一日をフルで使えることが挙げられます。他方、デメリットとしては、なんといっても長時間にわたる乗車時間でしょう。バスの中で寝られる人にとっては問題ないんでしょうが、寝つきがよくない人にとっては真っ暗闇の中で(バスの車内は完全消灯)身動きできずに過ごさざるを得ず、なかなか辛い。

学生時代には、お金がないので青春18切符と夜行バスを頻繁に利用してました。最近でも、たまに夜行バスを利用してます。

で、いろんな会社の夜行バスを利用してきましたが、会社によって(運転手によって)運転に大きな差があることを実感しています。ある大手の会社の場合、バスの運転手は2人いて交代で運転しますから安心感は非常に高いです。運転も穏やかでよかったのが印象に残ってます。もちろん、他社に比べてお値段は高め。他方で、ひどい会社だと発進、停止の動作が荒く、高速に乗る前の一般道走行で酔いそうになったりしました。運転手は一人でしたから、ずっと荒い運転のまま。

今回の事故を受けて、今後は夜行バスでは運転手を二人乗車させる、運転手の運転をチェックできる体制を導入する等して安全確保をして欲しいです。この方が運転手にかかる負担が大きく減りますし。多少の値上げがなされても、安全には変えられませんしね。

2012年5月3日 | コメント/トラックバック(0) |

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国家公務員総合職の第一次試験の結果

昨日、一昨日に実施された国家公務員総合職の第一次試験(択一試験)の解答の発表がありました。法律区分について、教養問題(基礎能力試験)、法律問題(専門試験)ともに40題ずつ出題されたわけですが、55問以上正解した人はほぼ確実に合格でしょう。受験生数人の点数から推測するに、ボーダーラインは50問前後かなと思います。専門試験の傾斜配点を踏まえた場合、60点弱かな…。まぁ、数人の点数からの推測ですからあてになりませんけど(全然違ってたら、すいません。)。ボーダーライン前後の受験生にとっては気になって仕方がないんでしょうが、少なくとも45問以上正解した方(傾斜配点を踏まえた点が55点以上)は合格の可能性が十分あると思いますので、必死に論文試験の対策をするべきです。

さて、公務員試験のことはさておいて、連休中に米澤穂信さん著の「インシテミル」(文春文庫)を今更ですが読みました。けっこう面白くて最初から最後まで夢中で読んでました。でも、読みおわってから振り返ると結末がちょっと物足りない感じ。意外な結末ではあるんですけどね。


明日は、朝から事務所へ行って起案に取り組みます。

2012年5月1日 | コメント/トラックバック(0) |

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国家公務員総合職試験とロースクール入試の併願

昨日は、国家公務員総合職の第一次試験日だったようです。国家公務員総合職受験生は、5月27日に第二次試験(論文試験)を控えていますから、司法試験受験生と同じく、ゴールデンウイークは勉強尽くしの日々になりますね。

昨日の国家公務員総合職試験を受験してきた数人の話を聞いたところ、法律科目は民法が前年度に比べて難しくなったようです。私もちょっと問題を見てみたんですが、司法試験と同レベルの知識を問う問題、ひっかけ問題が複数あったように感じました。ロースクール既修者コースを受験予定の大学4年生もけっこう受験しているようとの噂を聞きましたが、そうであるならば公務員試験専願受験生が法律科目で彼らに勝つことは難しく、公務員試験専願受験生にとってはどれだけ教養科目で差をつけるかが重要でしょう。
いずれにせよ、第二次試験の配点の方が高いわけですから、あまり出来なかった受験生も気にせずに論文試験の勉強をさっさと始めた方がいいでしょうね。

これからは、ロースクール入試と公務員試験総合職の併願者数は増加していくかもしれません。国家公務員総合職の法律区分は、憲法、民法、行政法(以上、択一、論文の両試験あり)、刑法、商法、労働法(以上、択一試験のみ)が問われ、法律科目の勉強の範囲が重なりますので併願しやすいのではないかと…。加えて、ロースクール入学に必要な適性試験は国家公務員試験の教養科目と重なるところがありますし。

2012年4月30日 | コメント/トラックバック(0) |

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