司法試験後から合格発表までにやるべきこと

 先日、平成26年度司法試験の全日程が終了しました。私は問題を確認していませんが、今年度は民事系が難しかった、要件事実をちゃんとやっていないと対応できない問題だった等と巷で話題になっているようです。

 受験生の皆さんは、試験が終わってほっと一息ついていることと思いますが、ここでは合格発表までに何をやっておいたらよいか、私なりの意見を述べたいと思います。

 まず、大手渉外法律事務所や外資系事務所等の事務所では、合格発表前に就職説明会が実施されるところがありますので、それらの事務所への入所を希望し、ある程度合格している自信の方は情報をチェックして就職活動準備をしておく必要があるでしょう。履歴書の書き方、面接・説明会での振る舞い方等、基本的なことがちゃんとできていない人が意外に多いので、いわゆる就職活動に関する本で一般的な常識を身につけておくことは最低限必要だと思います。

 それ以外の方は、試験の出来にもよりますが、やはり司法修習に向けて要件事実を中心に勉強されるとよいと思いますね。要件事実は司法試験にも司法修習にも役立ちますから。それから、司法修習では、民事訴訟法、刑事訴訟法の知識(論点の知識ではなく、手続に関する条文の知識)も非常に重要になりますので、この2科目もしっかりと勉強しておくとよいと思います。
 
 ちなみに、要件事実であれば、司法研修所編「新問題研究 要件事実」(法曹会)(7net)、同じく司法研修所編「改訂 紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」(法曹会)(7net)、そのサブノートにあたる大江忠著「要件事実ノート」(Amazon)、「要件事実ノート2 重要判例と要件事実論」(商事法務)(Amazon)をまずはマスターするのがよいと思います。余裕があれば、大島眞一著「完全講義 民事裁判実務の基礎第2版」上巻・下巻(民事法研究会)(Amazon)もやれるとよいですね。

 民事訴訟法、刑事訴訟法についてはこれまで使用してきた基本書でよいと思いますが、刑事訴訟法については、石井一正先生著の「刑事実務証拠法 第5版」(判例タイムズ社)(Amazon)、同じく石井一正先生著の「刑事事実認定入門」(判例タイムズ社)(Amazon)を読んでおくと修習に役立つと思います。

 試験が終わった開放感でついつい遊んでしまいたい気持ちもわかりますが、修習が始まってからまとまった時間をとるのは意外に難しかったりしますので(各種の懇親会や勉強会、就職活動等でけっこう時間をとられてしまいます。)、今のうちから少しずつやっておくことをオススメします。













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2014年5月23日 | コメント/トラックバック(0) |

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法科大学院に到達度試験導入?

 ここ数日、風邪で体調を崩して臥せっておりました。少年の頃はあまり風邪をひかず、健康優良児だと自認していたのですが(笑)、弁護士になって以降、けっこうな頻度で体調を崩しています。今回の風邪は咳がおさまらなくて、なかなかしんどいです。
 でも、昨日一日中静養したおかげで体調が楽になりましたので、早速事務所に来て、仕事再開しました。そんな中、「文部科学省が法科大学院が在籍する全学生を対象として進級判定に活用できる「共通到達度確認試験(仮称)」を導入する方針を固めた」との気になるニュースを見つけました(→ソース元:文科省、法科大学院に到達度試験 司法試験の合格率低迷で – 47NEWS(よんななニュース))。
 司法試験合格率が低迷していることを受け、進級させるかどうかを厳格に判断することで修了生の質の低下を防ぐという目的らしいですが、その効果をどれだけ期待できるのか疑問ですね。修了生の質の低下は、つまるところ、法科大学院の受験者数が低迷し、誰でも簡単に入学できる状況になっていること(優秀な学生が集まらないこと)に起因していると思います。

 ここ数年間、法科大学院入学志願者数は減少し続けているわけですが、個人的には、その原因が司法試験合格率の低迷にあるとは思えません。現在の司法試験の合格率は約25%くらいあると思うのですが、昔の司法試験の合格率が3%だったことに比べたら、格段に合格しやすくなっていますからね。
 むしろ、法科大学院の志願者(法曹志願者)が激減しているのは、①法科大学院を卒業するのにそれなりの期間(未修者で3年、既修者で2年)・費用を要するのに、合格しても就職困難であること、②就職できても待遇が過去に比べて相当悪いこと、③法科大学院修了後の司法試験受験回数に制限があること、④司法修習が貸与制になったこと、⑤法科大学院に行かなくても司法試験を受験できる予備試験ルートができたことが主な原因だと思っています。
 特に、法科大学院修了後の受験回数に制限があるのが大きな要因でしょう。法曹の質の低下を防ぎたいなら、法科大学院志願者数を増やして優秀な学生を集めることが最も有用だと思いますし、そのためには法科大学院修了後の司法試験受験回数を撤廃することが必要不可欠なのではないかと思います。

 文部科学省が提案する共通到達度確認試験を導入し、進級認定を厳格に行うことにすれば、進級できなかった生徒は法科大学院に費用をさらに支払う状況となり、進級できないリスクを恐れて、法科大学院受験者数はさらに減少するのではないでしょうか。
 果たしてどのような結果になるのか、気になるところです。

 

 

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2014年5月4日 | コメント/トラックバック(0) |

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久々の関西出張

 4月25日金曜日、26日土曜日と2日間にかけて、和歌山・大阪の2箇所で相談が入っていて、久々に関西出張しました。
25日は13時過ぎから千葉地裁で期日が入っていたのですが、同期日終了後すぐにモノレールに飛び乗って、県庁前→千葉駅→東京駅→新大阪駅→和歌山駅→岩出駅と大移動をしたのですが、岩出駅に到着したのは20時過ぎ。さすがに、これだけ長時間電車に乗っていると、移動だけで疲れ果ててしまいました。
 和歌山駅から岩出駅までの電車の乗り継ぎがうまくいかなくて、約30分くらい和歌山駅で待機していたわけですが、ふと、東京は本当に恵まれていることを再認識させられました。山手線なんかは、数分おきに電車きますし、夜遅くまで電車ありますしね。ちなみに、岩出駅から終電で大阪駅まで戻ろうと思っていたんですが、そうすると21時過ぎの電車に乗るしかなく、間に合わなくて岩出で一夜を過ごしました。

 いつかは車を買いたいと思っているんですが、実際には、東京だと電車で移動するのが一番早い方法であり、車は必須じゃないですね。必要なときはタクシーを使った方が安上がりですし。
 車を買うのは、事務所経営がもっと安定して余裕が出てきてからにしようと思うのですが、そうすると、何年先になるのか自分でも想像できませんww

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2014年4月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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「無罪請負人」を読みました。

 一昨日、本屋さんに立ち寄った際に、弘中惇一郎弁護士が書いた無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)が発売されているのを知り、出張に行く新幹線の社内で一気に読みきりました。

 弘中惇一郎弁護士といえば、小沢一郎代議士や鈴木宗男代議士、ホリエモン、厚生労働省の村木さんら著名人の刑事弁護を引き受け、数々の無罪判決を獲得されている先生で刑事弁護の世界では大変有名な方です。

 ということで、「一体どんな内容なのかな」と楽しみにしながら読み進めました。その内容についてですが、刑事弁護をやっていきたいという弁護士にとっては非常に有益なものだと思います。徹底的に調査を進め、どんな事件でも(時には採算を度外視して)全力で取り組む弘中先生のスタンスが書かれていて、大変勉強になりました。
 無罪判決獲得の裏には、言葉に表しきれない膨大な弁護人の努力があるわけですが、そのことが具体的に伝わってきます。

 上記著書を読んだこの機会に、改めて自分の刑事弁護の取り組み方を見つめなおしたいと思います。

 



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2014年4月13日 | コメント/トラックバック(0) |

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美しすぎる検察トップが話題になっていますが…

イカツイ顔のイメージ
(photo by morguefile.com)

 少し前の話題ですが、ウクライナ南部のクリミアの検察トップに就任した若い女性検察官が美人すぎるとネット上で話題になっていますね。

 ニュース元:時事ドットコム:美し過ぎる?検察トップ=34歳女性、ネットで人気-クリミア


女性検察官の美人化の波は国内でも?

 検察官としての職務執行にあたって、美人かどうか、また、ハンサムかどうかは関係ないと思うわけですが、日本の業界でも一時期、「新規採用の女性検察官がかわいくなった」なんて言われていたことがあります。その理由として「裁判員裁判対策として、裁判員への印象をよくするため」という話を聞いたことがありますが、冷静に考えると、ネタとしか思えません。女性検察官がかわいいかどうかと裁判員の印象というものは全く関係ないでしょう(笑)。被告人の印象が重要というのであればわかりますけどね(実際、被告人の印象をよくするために、裁判員裁判では男性の被告人はスーツを着用していることが多いです。)
 
 ホントのところは、弁護士の就職難、弁護士業界の先行きの不透明さが原因で検察志望の女性修習生が従前より増え、その結果、若い女性検察官が増えたのではないかと思いますね。


むしろ検察官の顔で重要なのは

 なお、ルックスについて言うならば、検察業界において、男性の方はハンサムかどうかよりも、イカツイかどうかが重要な気がします。検察官は、暴力団を含めた強面の被疑者の取調べを担当するわけですが、被疑者にナメられるわけにはいきません。そういう視点からみると、ベビーフェイスな感じよりもイカツイ感じの方がいいのかもしれませんね。

 いずれにせよ、クリミアの検察トップが美人かどうかなんてのは、ネット上の注目を集めるという点を除き、特に意味がないと思います。

 

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2014年4月4日 | コメント/トラックバック(0) |

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ブラック企業ビジネス

 今日は午前10時から東京地裁立川支部で口頭弁論、16時からさいたま地裁で弁論準備手続がありました。
いったん事務所に戻ろうかと思いましたが、事務所に戻っても2時間半くらいしか仕事できないと思い、立川から浦和に直行しました。
 立川から浦和までは、西国分寺駅まで中央線、西国分寺から南浦和駅まで武蔵野線、南浦和駅から浦和駅まで京浜東北線で一駅という感じで意外にアクセスがよいのです。

 で、少し時間があったので、本屋さんに立ち寄り、今野晴貴さんの著書「ブラック企業ビジネス」(朝日新聞出版)が目にとまって、衝動買いしてしまいました。今野さんのブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)という本は以前に発売され、読了していますが、今回発売された「ブラック企業ビジネス」はそのタイトル通り、ブラック企業そのものではなく、同企業につく弁護士や社労士に焦点をあてて論じられています。

 上記の本で印象的だったのは、会社が労働者に対する嫌がらせで、数千万単位の高額の損害賠償を求める訴訟を仕掛けてくることがあるとの点であり(いわゆる「スラップ訴訟」。)、私も実際に担当したことが2~3度ありますので、「確かになぁ」と妙に納得しました(もちろん、労働者側につきましたよ。)。例えば、履歴書の学歴に虚偽があり、その虚偽がなければ雇っていなかったとして、在職中に支払った賃金全額(2000万弱)を不当利得として返還請求してきた事案なんかがそうですね。
 上記のような訴訟を提起するぞと脅されれば、大抵の労働者は、怖くなって会社に意見できなくなったり、辞めたくても辞められないという状況に陥ることでしょう。

 アメリカのカリフォルニア州では、スラップ訴訟対策として「反スラップ法」なるものがあるそうですが、我が国でも同内容の法律が必要になる日がくるかもしれません。




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2014年3月6日 | コメント/トラックバック(0) |

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「資格を取ると貧乏になります」を読んで

 今月は何度か体調不良となり、思うように仕事が進まない日が続いています。
せっかく完治したと思ったのに、2日前くらいから再び体調が悪化し、かといって、既に入っている期日を欠席するわけにもいかず、期日だけはなんとか頑張って出廷しています。

 ということで、今日も午後からあったさいたま地裁の期日に出廷してきました。事前に直送済の準備書面の陳述だけで、わずか2分で期日終了。う~ん、体調不良でしんどいのに浦和まで行くことのむなしさを感じてしまいます。

 さて、今日はさいたま地裁からの帰り道に立ち寄った本屋さんで「資格を取ると貧乏になります」(佐藤留美さん著・新潮社)を買って、帰りの電車と昼ごはんの時間を使って一気読みしました。
 この本では、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士という4つの士業にスポットをあてて解説がなされています。
弁護士業界が不況なのは数年前からいろいろ言われているわけですが、公認会計士業界や税理士業界もこれに劣らず大変そうですね。弁護士は、税理士、弁理士には登録するだけでなれますが、公認会計士にはなれない(会計士試験でいくつか免除されるという優遇があるにとどまります。)ので、公認会計士資格もとってみたいと考えたことがあります。でも、「そんな暇(試験勉強する余裕)があるなら、法律の知識を補充しないと」と思って、結局、あきらめましたね。

 作者の言うとおり、「資格さえ取れればたちまち生計が立つ」という考え方自体が誤りで危険なものですが、ただ、弁護士業界に限って言えば、いくら就職難といっても、他の業界に比べたらまだまだ恵まれているのではないかと思います。即独立してやっていける資格は弁護士資格だけでしょうし。

 何にせよ、資格をとった上で具体的に何をやりたいか、どうやりたいかということまで念頭に置いておかないと、うまくいかないでしょうね。

  

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2014年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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絶望の裁判所

 最近、元裁判官で民事保全法の大家である瀬木比呂志教授が書いた「絶望の裁判所」(講談社現代新書)を購入して一気読みしました。

 元裁判官として実際の経験を交えた記載がなされているんですが、私が実際に触れ合った裁判官のイメージとは異なるところが多く、あまりしっくりこなかったのが実情です。出世にとらわれて上司の顔色を伺う裁判官が多いとのことですが、私が修習等で触れ合った裁判官にはそんな印象はなかったんで。もしかしたら、偶然、そういう裁判官ばかりだったのかもしれませんが(笑)。

 ただ、裁判官のキャリアについてわかりやすく書かれているのは興味深かったですね。最高裁長官をトップとして、最高裁判事、東京高裁判事、大都市地裁支部長ってな感じで序列化があるのは耳にしたことがあり、本当なんだろうなと思ったりしています。

 筆者は、裁判所の現状を変えるには法曹一元制の導入が必要と説いていますが、現状変更の要否はさておき、一定程度弁護士としてキャリアを積んだ人が裁判官になるというのは個人的には合理的だと思いますね。修習終了後に裁判官になるよりも、弁護士として社会の中で一定の経験を踏んでから裁判官になる方が当事者に配慮した訴訟指揮を行えるのではと感じます。

 興味のある方は是非ご一読ください。


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2014年2月23日 | コメント/トラックバック(0) |

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体調不良で…

 2月9日から今日まで自宅で臥せっておりました。9日に起床した時点で、喉の調子が悪く、体も少しだるい状態だったのですが、10日に起床した時点で体調は悪化し、喉が痛くてご飯も食べられない状態でした。
 人間の自然治癒力を信じてあまり病院に行かない私ですが、あまりの痛みに耐え切れず、近所の病院に行って診察してもらったところ、喉が相当ひどい状態だったらしく、2,3日安静にするようにとのことでした。もしかしてインフルエンザではと思い、医師にきいてみたのですが、医師からは「インフルよりひどいよ。」と言われてしまいました(笑)。インフルエンザでなかったみたいなんで、よかったのかもしれませんが…。
 確かに、去年の今頃にインフルエンザに罹ったんですが、そのときの状態よりも辛く、これほどに喉が痛くなるのは初めての経験でした。

 ということで、昨日が祝祭日だったこともあり、日、月、火とお休みさせていただきました。ご迷惑をおかけしてごめんなさい。
喉の調子は相当回復しましたので、今日から業務に復帰しています。遅れた分は、一生懸命やりたいと思います。

 病院には早めに行った方がよいという当然のことを改めて認識しました。

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2014年2月12日 | コメント/トラックバック(0) |

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今年もよろしくお願いします。

 2014年度最初のブログ更新です。
1月といえば、裁判所の年末年始休暇明けのため、期日が普段よりたくさん入っていまして、バタバタしていました。今はある程度落ち着いていて、2月は少し余裕が出てきました。今月はたまっていた仕事をできるだけ片付けたいと思います。

 そんな中、寝る前の時間を使って、いろいろと読書していたわけですが、最近読んだものの中でオススメは、万城目学著「とっぴんぱらりの風太郎」(文藝春秋)和田竜著「村上海賊の娘」(新潮社)です。

どちらも時代物小説ですが、お固い内容ではなくスラスラ楽しく読み進めていけます。ちなみに、どちらも2014年本屋大賞にノミネートされています。

 本屋大賞の候補で思い出したんですが、森見登美彦著「聖なる怠け者の冒険」(朝日新聞出版)も買って読了しています。こちらはユーモア溢れる作品で京都好きな人は好きになるのではないかと思いますね。この小説の舞台は京都でして、京都出身の私にはイメージが湧きやすいものでした。

 その他の本屋大賞候補作を読んでいませんので、どれが受賞するかはわかりませんけど、上記3作品の中なら、村上海賊の娘が個人的には一番面白く感じました。

 今日はフライデーナイトですので、私も早めに帰れるように、ブログはここで終わりにして仕事に戻ります(笑)。

 





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2014年2月7日 | コメント/トラックバック(0) |

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