労働審判制度の妙味


弁護士の増員とは裏腹に、訴訟の件数は減少傾向だそうです。多分、過払訴訟の数が年々減っていることと関係しているんだと思います。
でも、労働事件については、減少傾向は見られないようです。これは、昨今の不景気のの影響のみならず、近年、導入された新たな制度「労働審判」の影響が大きいと考えてます。

それまでは、労働事件も他の民事事件と同じく、訴訟提起してから判決までに1年くらいはかかっていましたが、労働審判制度によって審理期間は飛躍的に短くなり、労働者が利用しやすくなりました。労働審判制度の大きな特徴として、審理(期日)は原則3回までに限られ(例外的に4回開かれることもありますが、それはあくまで例外です。私の経験では、これまで何十件も労働審判を申し立ててきましたが、4回目が開かれたのは2回しかありません。)、1回目の期日で当事者に対して労働審判委員会から直接、事実確認がなされる点を挙げることができます(そのため、労働者は必ず第一回目の期日に代理人と一緒に出席しないといけません。)。通常の民事訴訟だと、かなり大雑把に言うと、期日が開かれるごとに原告、被告間で準備書面のやりとりがなされ、しばらくして弁論準備手続で争点整理がなされ、尋問、最終準備書面の提出を経てようやく判決となるわけですが、労働審判では、申立人(労働者)による労働審判申立書、それに対する相手方(使用者)の反論である答弁書において、あらゆる主張、反論を出しつくし、1回目の期日で審理が終わるんですね(場合によっては、補充書面を提出し、審理が2回目に延びることもありますが)。それで、2回目、3回目の期日では、調停成立(いわゆる和解です。)に向けての交渉が行われるのが一般的です。

で、もう一つの大きな特徴として、調停不成立の場合には審判(いわゆる判決にあたるものです。)が下されますが、この審判に異議を申し立てると自動的に訴訟に移行する点があります(この場合、労働審判でなされた審理は白紙となり、訴訟においてゼロの状態から審理がスタートします)。使用者も労働者も審理が長引くことを好みませんので、双方譲歩して、調停が成立することが多いというわけです。実際、私が申し立てた事件のほとんどが調停で成立しています。あまり争いを好まない日本人の国民性にマッチした制度だと思います。

今後も労働事件は減らないと思いますね。

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