同種前科のある被告人の刑事弁護

昨日から事務所に残って弁論要旨の起案をしていました。

少しでも被告人に有利な事情を盛り込んで、量刑が軽くなるようにと思って起案しましたが、同種前科が複数ある場合、説得的な弁論要旨を作成することは容易ではありません。
同じ犯罪を何度も繰り返していると、裁判所に「被告人の規範意識は鈍磨している」、「社会復帰後も犯罪を繰り返す可能性が高い」等と判断されがちですので、裁判所に対して、従前とは異なり、今度こそ大丈夫と思わせることが必要になります。真に実効的な再犯防止策というものは簡単に思いつくようなものではなく(答えの見つからない問題といっても過言ではないです。)、被告人と面会を重ねてどれだけ分析、検討したかが重要だと思います。被告人質問事項についても、このことを説得的にアピールするという観点から組み立てる必要がありますね。
ちょっと時間がかかり過ぎた感がありますが、書き終えた今はすっきりした気分です。

そういえば、夜が明けるのが日に日に早くなっていて夏が近づいていることを実感しますが、今年の夏は節電の必要性からいろいろと工夫して乗り切ることが必要になりそうですね。今年の夏は猛暑とならないことを願うばかりです。

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2012年5月29日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

裁判員裁判対象事件をやることになりました。

またまた更新が滞ってしまいました。ありがたいことに民事、刑事ともにご依頼いただいていて、バランスよく?仕事しています。そういえば、被疑者段階から担当していた事件がそのまま起訴されて裁判員裁判になることが決まりました。
相当な負担がかかると思われますので、私一人でやらずに、知り合いの先生にお願いして一緒に担当する予定です。もうしばらくの間、忙しい状態が続きそうです。

そういえば、新司法試験も国家総合職の論文試験も終わったようですね。国家総合職試験の受験生は官庁訪問でもうしばらくは忙しいと思いますが、それが終れば、新司法試験受験生と同じくしばらくゆっくり休めるものと思います。今年で受験するのが最後の受験生は旅行するなり、遊びに行くなりして合格発表まで自由に過ごすといいでしょう。他にも公務員試験を併願していてこれから試験がある方は別ですが。今年の試験が不合格の場合に来年も受験する予定の方(司法試験受験生が主ですが)は、少し休んでから勉強を再開するのが望ましいわけですが、そう簡単には気分が乗らないでしょう(笑)。というわけで、私のオススメは司法試験にも修習にも役立つ勉強をすることですね。例えば、要件事実や刑訴、民訴、民事執行法、民事保全法とかですかね。これなら気分も少しは乗るんじゃないかと‥。ちなみに、私は要件事実で苦労しましたので、早めに要件事実の勉強に取りかかることを特に強くオススメします。

なにはともあれ、受験生の方はお疲れ様でした。



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2012年5月28日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

東京拘置所での接見

昨日は、今日の午後からある公判の準備のために東京拘置所に行って接見してきました。拘置所の場合、警察署の留置施設に比べて、弁護士にとってはあんまり使い勝手はよくないですね。例えば、被告人からの宅下げは15時までに申し出が必要らしく(昨日、15時半に宅下げを申し入れたら断られました。悲しい‥)、接見時間も原則として17時まで。公判のある日の3日前(もしかしたら5日前だったかも?)なら予約していれば20時まで可能なんですが、警察署だと常識の範囲内であれば、こういう時間的な制約がなくて助かります。宅下げも貴重品を除けば、警察署は夜でも可能ですし。
こうしてみると、警察署での接見って弁護士にはありがたい。被告人(被疑者)にとっては、警察署の留置施設か東京拘置所のどちらが過ごしやすいかは不明ですけど。ある被告人の方はラジオが聞けるし、自分で雑誌、お菓子も購入できるので拘置所がいいと言ってました。他方で、別の被告人の方は、日中に座ってないといけない等の決まりがあって拘置所は厳しいので警察署がいいと言ってました。詳しくわかりませんが、甲乙つけがたいようです。

話がそれましたが日中は公判や法律相談、打ち合わせ等でまとまった時間をつくりにくいので、昨日拘置所に行った際に複数の被告人と接見してきました。その数合計4人。終わったときにはヘトヘトでした。そのおかげで、準備万端な感じです。東京拘置所では、最初に拘置所の1階で接見を申し込む際にあらかじめ複数人と接見希望である旨伝えれば、同じ接見室に被告人を続けて連れてきてもらえます。ただし、事前に各被告人ごとの接見時間を尋ねられますが。

あと、言い忘れましたが、拘置所では接見室が複数ありますので、警察署のように接見室の利用がかちあって待たされることが少ないのはいいところです。東京だと湾岸警察署や原宿警察署、新宿警察署等のように複数の接見室を備えている警察署がある一方で、接見室が1つしかない警察署もたくさんあります。昨日は拘置所での接見を終えたあとに、被疑者から接見要望が出ていた麻布警察署(接見室は1つ)にも接見に行きましたが、先に2人の弁護士が接見中若しくは接見待ちだったために、私も2時間半待ちました。さすがにこれはキツかった‥。

一昨日の徹夜の疲れを嫌すためにも、今から朝までがっつり寝ます。


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2012年5月23日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

示談交渉のタイミング

 被害者のある犯罪(窃盗、詐欺、強姦、強制わいせつ、迷惑防止条例違反(いわゆる「痴漢」が多い))ですと、被疑者又はその親族に資力があり、かつ、罪を認めている場合には、被害者に示談を申し入れることが多いです。

 示談するにあたって、被害者が被疑者の知り合いでない限り、被害者の連絡先がわかりませんので、捜査担当の検察官に対して、被害者と示談したい旨申し伝えて、被害者の意向(弁護士と会うつもりがあるか、弁護士に連絡先を教えてよいか)を確認してもらい、検察官に連絡先を教えてもらうことになります。

 ここで、どのタイミングで示談交渉を申し入れるかということが実はけっこう難しい。起訴前に示談を成立させるのがよいので、できるだけ早く示談交渉を開始するのが原則ですが、例えば、被疑者が罪を認めていても犯行態様等の点で被害者の供述と一致していない場合には、すぐに示談交渉してもうまくいかないことが多々あります(被疑者の供述が被害者の供述と一致していない場合、被害者に「被疑者が真に反省していない。」と捉えられることがあります。)。こういう場合には、示談の仕方や時期について一定の配慮が必要となります。

 最近でも、被疑者と被害者の供述が不一致(ただし、被疑者は罪を認めている。)の事件について、被害者と連絡をとって示談交渉しましたが、うまくいきませんでした(被害弁償金も受け取ってもらえませんでしたが、最終的には被害弁償金を供託して処分保留釈放(不起訴の見込み)となりました。)。
 こういう事件では、供述に不一致がある原因(理由)を分析した上で被害者に説明して納得してもらえるかどうか(供述の不一致が直ちに「被疑者が反省していないこと」には結びつくものではないことをわかってもらえるかどうか)が重要になります。

 こうしてみると、示談交渉といっても一筋縄でいかないものだなと我ながら実感します。

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2012年5月21日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

「猫弁」読みました。

先日、ブログで紹介した「司法占領」に続いて、弁護士が主役の物語「猫弁」(大山淳子著 講談社文庫)を読みました。TBSでドラマ化されて、現在放映中のようです。

こちらの本は、著者が弁護士ではないので、法曹関係者にとってはやや物足りない感じを受けるかもしれません。私は、弁護士業務を中心に取り上げた物語かな?と勝手に想像してましたが、中身は身代金請求事件に恋愛を絡めた感じ。意外な結末は面白かったですけど、読んでいて「そういうの、あるある」とは思えなかったです。弁護士の実態を捉えた物語ではないですね。猫より犬派の私は続刊として「犬弁」の発売を密かに期待しています。もちろん登場する犬は私が愛してやまないフレンチブルドッグで(笑)

さて、今週、来週と忙しさがピークを迎えそうです。今週は2日続けて自宅に戻れませんでしたが、担当していた被疑事件2つ(詐欺と暴行)が両方とも処分保留釈放となり、起訴、略式起訴を免れましたのでよかったです。実は、3日前は夜に始まった示談交渉が長引いて自宅から遠く離れた町で終電を逃し、帰宅できなかったわけですが、勾留満期直前で示談が成立して処分保留釈放につながったことを思うと不思議と疲れを感じないです。
このまま来週も頑張ります。


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2012年5月19日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

「司法占領」読みました。

接見に行く途中の移動時間を利用して、鈴木仁志先生著「司法占領」(講談社文庫)を読みました。

弁護士大増員の未来を舞台にした小説でして、フィクションですがあり得なくもない未来に関心を抱きながら読んでました。外資系事務所については周囲の友人から伝え聞くくらいですが、聞いた話とけっこう似ていて、外資系事務所の多忙さをよく描いていると思います。法律を知らなくてもスイスイと読めますので、興味のある方はご一読されるとよいと思います。

そういえば、最近、巨額の詐欺事件(被害金額は1億円以上)で弁護士が逮捕されましたね。(<詐欺容疑>弁護士を逮捕 1億7000万円だまし取る (毎日新聞) – Yahoo!ニュース)。借金返済のためという動機らしいですが、何故にこんな大金が必要となるほどの借金(3億円以上らしいです。)を抱えたのかが気になります。事件が減ったというような事情ではないでしょう。起訴されるのは間違いないでしょうから刑事裁判を傍聴してみたいのですが、さすがに出張でも入らない限り、福岡地裁までは見に行けません。でも、気になるなぁ‥。




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2012年5月14日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

国家総合職試験(択一式)の結果

 昨日は、国家総合職の第一次試験(択一試験)の合否発表がありました。大卒法律区分に限ってみると、受験申込者が9532人に対して合格者は777名ですから、かなり厳しい試験であることは明らかですね。

 某掲示板を見ていると、ボーダーラインは法律科目の傾斜後だと62点、傾斜前だと51点というところでして(某掲示板の情報の信用性にそもそも疑問がありますが…)、予想より高かったというのが正直なところです。私が縁あって指導していた受験生は素点で47点、傾斜後60点で不合格となってしまいましたので、少なくとも傾斜後の点数でいえば61点以上でしょう。

 合格されたみなさんは、このまま気を抜かずに論文試験まで頑張って欲しいと思います。今回、残念ながら不合格となった方々は、浪人して来年も受験するのか、新たな進路を目指すのかで悩まれていると思いますが、そこは家族や友人、大学の指導担当教授らに相談して後悔のない決断をしてほしいと思います。
 個人的には、私と縁のある受験生が不合格となり、少なからずショックを受けているところです。早くても明日いっぱいはこのことが頭から離れそうにもありません。

 

 

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2012年5月12日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:日記

気がかりだった事件

 本日、担当しているある刑事事件の判決がありました。検察側の求刑が3年6か月というものでしたので、もしかしたら実刑になるかもと心配しながら日々過ごしてましたが、懲役3年で執行猶予が付されて胸のつかえがとれました。弁護人にとっても実刑判決が下されることは辛いことで、自白事件であれば起訴後は執行猶予が付されるように、ひたすら情状弁護活動に取り組むことになります。

 さて、上記の事件は今日で終了しましたが、最近新たに裁判員裁判対象事件を担当することとなり、今まで以上に緊張感をもって取り組んでいます。また、否認事件も数件担当していますので、しばらく忙しい日々が続きそうです。

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2012年5月10日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

憲法のオススメ本

最近、憲法の基本書をよく読んでます。王道は、やはり芦部憲法だと思いますが、痒い所に手が届く感があるのは高橋和之先生の「立憲主義と日本国憲法」(有斐閣)です。
通説とは異なる見解に立たれている箇所がいくつかありますが、非常に分かりやすく論じられていて読みやすいと思います。今後は、この本が司法試験、ロースクール入試、公務員試験対策の基本書としてメジャーになる予感がします。
統治機構の部分をもう少し詳しく書いてあれば嬉しいんですが‥(あと100頁くらい増量して欲しいですね。)




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2012年5月8日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:法律学

否認事件の刑事弁護はやっぱり大変。

昨日までいろいろ仕事していましたが、今日はある程度ゆっくりと過ごせそうです。(刑事事件の)否認事件を抱えていますから、気を抜けませんけど。

一般論ですが、否認事件の場合には捜査機関側が被疑者を自白させるために取り調べにおいていろいろな圧力をかけてくることが実際にあるようですので、被疑者の様子を確認し、連日長時間の取り調べに心が折れかかっている被疑者に適宜的確なアドバイスをするためにも足しげく接見にいく必要が状況次第ではあります。「やっていないんだったら、認めるはずがない(虚偽の自白をするはずがない)」なんて言われがちですが、これまでにあった複数の冤罪事件に鑑みると、このような思考方法は危険であることが自ずとわかるはずです。被疑者がやっていなくても罪を認めることはあり得るところでして、万が一にもそのようなことにならないように弁護士は活動しないといけません。

というわけで、接見要望があれば休日返上で頑張りたいと思います。






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2012年5月5日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:仕事

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