国選弁護と私選弁護

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この前、当番弁護で接見に行った際に、被疑者から「国選と私選だと何が違うんですか?」と聞かれました。私の答えは「原則、やる内容に差はありません。ただし、国選弁護人は選べませんが、私選弁護人は選べます。」というものでした。

実はこういう質問はよくあるんです。留置場は相部屋になっていて、被疑者同士数人が寝食をともにします。で、中には、社会と塀の中を行ったり来たりしている常連さんがいて、弁護士以上に刑事手続に詳しい人がいたりするんですね。そういう人から、国選弁護人はヤバいなんていう話を耳にしちゃうわけです。
どうして、こういう話になるのかというと、国選弁護人の中にはいい加減な弁護活動をする人がいるからなんでしょう。ですが、私選だから必ずしも国選よりいい結果に結びつくとは限らず、国選、私選の違いよりも重要なのは、「どの弁護士が弁護人になるのか」ということだと思います。国選であっても、ほとんどの弁護士は一生懸命に活動しています。他方で、私選であっても、依頼者(被疑者やその家族)から法外な金額(いわゆる相場よりはるかに高い金額)を受け取っておきながら、それに見合った活動をしていない弁護士もいると思います(私はある友人の弁護士からその話を聞いただけですが)。

要は、弁護士次第ということです。というわけで、私の最初の回答にいきつくわけですね。信頼できる弁護士がいるのであれば、私選でその弁護士に依頼するのがいいと思います。国選の場合は、特定の弁護士を指名して選ぶことができませんから。あと、被疑者段階では、国選対象事件と国選非対象事件があるので、注意が必要です。よくある犯罪で、窃盗、横領、傷害なんかは被疑者国選対象事件ですが、器物損壊、暴行、痴漢(いわゆる迷惑防止条例違反)なんかは被疑者国選非対象事件です。また、被疑者国選弁護人は、勾留決定が出てからしか付きません(身柄事件では逮捕⇨勾留というプロセスを踏みますが、逮捕されただけの段階では被疑者国選弁護人はつきません)ので、ここも注意が必要です。でも、資力のない方向けに援助制度(被疑者国選非対象事件と被疑者国選対象事件の勾留前の段階が援助対象)がありますので、当番弁護で無料で接見に赴いた弁護士を信頼できると判断したのであれば、同制度を利用して弁護人になることをお願いするといいと思います。

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