刑法、民事訴訟法、家事事件手続法の法改正
本日、侮辱罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案が閣議決定されたというニュースを目にしました。
ニュースによれば、主にインターネット上の誹謗中傷抑止を目的として、現行法の「拘留または科料」から「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に法定刑を引き上げるとのことのようです。
上記改正については、私がこのブログで去年の12月17日に言及していますので、改めて述べませんが、安易に侮辱罪を適用して逮捕できるとなると表現行為全般に委縮効果を及ぼす可能性が高いと思いますので、逮捕や勾留は悪質な事案に限る等の運用面での限定が必要と思います。
個人的には、IT化を目的とした民事訴訟法改正案と家事事件手続法改正案の方が気になります。改正が成立すると、書類のやりとりや裁判への参加等がオンラインで可能になるようです。また、離婚調停もウェブ会議で成立させることが可能になるようです。これはとても大きな変革だと思います。これまでは、「原告は実質的なやりとりがほぼ行われない第1回口頭弁論期日に出廷しなければいけない」、「裁判書類は郵送か持参かFAXでやりとりしないといけない」、「離婚調停を成立させるには、意思確認のために、当事者双方が調停に出席しないといけない」といったルールがあり、なかなか大変でした。
それが上記の改正によって大きく効率化するのでしたら、とてもいいことだと思います。同時に、弁護士の営業・執務スタイルも大きく変化すると思われ、出廷の負担を気にすることなく事件を担当できるようになれば、距離を気にせずに事件を受任しやすくなるでしょうし、依頼者との相談・打ち合わせについてもウェブを用いて行われることが一般化するかもしれません
唯一しんどいなと思うのは、上記改正によって、たくさんの文献が改訂され、それを買い直さないといけなくなることですかね。私は、書面を書くにあたっていろいろな文献を読んで調査するのが好きな性格でして、事務所にはたくさんの書籍を揃えています。そのため、改訂されて買い替える必要のある書籍数も必然的に多くなりますので、けっこうな出費が予想されるところです。いくらになるのか想像がつきませんが、頑張って買い直そうと思います(笑)
2022年3月8日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:仕事