愛犬コテツとリョウマ

小保方晴子さんの処分はどうなる?~懲戒処分の効力~

研究所イメージ
(photo by morgueFile)
 STAP細胞に関する理論を打ち立てて一躍有名になった小保方晴子さんについて、本日付で理化学研究所の調査委員会は、英科学誌ネイチャーに掲載した論文に一部「捏造」があったと認定しました。

(ソース元:STAP細胞:理研「研究不正は小保方氏単独で」 – 毎日新聞


 上記の認定に小保方さんは納得しておらず、「捏造」ではなく「間違い(ミス)」だと主張しているようです。
今後、懲戒委員会が小保方さんの処分を決める手続に入り、処分までに1ヶ月程度要する見込みであると報道されていますが、小保方さんに対してはいかなる処分が下るのでしょうか。
(以下、雇用契約であることを前提にしています。)


懲戒解雇もあり得る

 論文について「捏造」したとの事実を前提とした場合、同行為が理化学研究所に与える影響は凄まじく、小保方さん自身が「捏造」の事実を否定している(理化学研究所から「反省していない」と判断されるおそれがあります。)という態度も考慮すると、最も重い懲戒処分である「懲戒解雇」、もしくはそれに準ずる処分である「諭旨解雇」が下される可能性があるとみています。

そもそも「懲戒解雇」って?

 懲戒解雇、諭旨解雇を含めた懲戒処分は「企業秩序の違反に対し、使用者によって課される一種の制裁罰」であり、少なからず労働者の名誉を傷つけるものなので、そう簡単に発動を許してはならないものです。そのため、労働契約法15条は、懲戒権の濫用は無効と定め、懲戒処分の効力は厳格に判断されます。そして、懲戒解雇は、労働者の再就職を閉ざしかねない極めて重い処分である上に(懲戒解雇された労働者を雇おうと思う使用者は少ないと一般的に言えるでしょう。)、一般的に退職金の不支給・減額も伴うものであるため(この点は就業規則にどのように定められているかによります。)、その効力は一層厳格に判断されることになります。懲戒解雇は、いわゆる「伝家の宝刀」といえばわかりやすいでしょうか。ここぞという時にだけ抜くことができるんですね。具体的には、単なる解雇(普通解雇)では足りないといえる程に重大な非違行為を行った場合にだけ有効になるものです。

 では、どういう場合に懲戒解雇が有効になるかと言えば、典型例として会社のお金を横領したり、会社の物品を盗んだりといった犯罪行為に手を染めた場合を挙げることができます。それから、犯罪行為とまではいかない非違行為であっても何度も繰り返して(厳重注意、戒告、減給等のより軽い懲戒処分を受けても改まらず)、使用者に多大な損害を与えた場合も懲戒解雇が有効となる可能性が高いですね。


もし懲戒解雇が下された場合

 以上をふまえて、小保方さんに対して仮に「懲戒解雇」処分が下された場合の効力をどうみるかですが、上記の通り、「捏造」したという事実を前提とすれば、理化学研究所に対する世間(というより「世界」といったほうが正しいですね。)の評価・信頼を著しく下げたといえ、その損害は極めて大きい上に、研究者であれば「捏造」は強く禁止される行為であることを十分認識しているはずでありますので、懲戒解雇は有効となるとみています。
 他方で、「捏造」ではなく、「単なる間違い」であった場合(故意にやったかどうかの違いですね。)、理化学研究所に与えた影響という点では大きな差はないものの、「悪質」とは評価できず(故意にやったわけでは)、小保方さんがこれまでに何ら懲戒処分を受けたことがない(この点は定かでありませんが…)ことも踏まえると、懲戒解雇は無効になるのではないかと思います。


研究を続けて欲しい

 ただ、論文の捏造があったかどうかという点よりも、STAP細胞の存在の有無こそが世間の関心の的ですので、小保方さんにはSTAP細胞の研究を続けてほしいと個人的には思っています。もし、小保方さんがSTAP細胞の研究に成功すれば、それは全人類にとって大きな財産となるもので、今回の論文の件は些細な問題だと評価されるでしょうから。
 ということで、理化学研究所に対しては、この点を考慮して、寛大なスタンスでいってもらいたいと思います。


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2014年4月1日 | コメント/トラックバック(0) |

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ブラック企業ビジネス

 今日は午前10時から東京地裁立川支部で口頭弁論、16時からさいたま地裁で弁論準備手続がありました。
いったん事務所に戻ろうかと思いましたが、事務所に戻っても2時間半くらいしか仕事できないと思い、立川から浦和に直行しました。
 立川から浦和までは、西国分寺駅まで中央線、西国分寺から南浦和駅まで武蔵野線、南浦和駅から浦和駅まで京浜東北線で一駅という感じで意外にアクセスがよいのです。

 で、少し時間があったので、本屋さんに立ち寄り、今野晴貴さんの著書「ブラック企業ビジネス」(朝日新聞出版)が目にとまって、衝動買いしてしまいました。今野さんのブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)という本は以前に発売され、読了していますが、今回発売された「ブラック企業ビジネス」はそのタイトル通り、ブラック企業そのものではなく、同企業につく弁護士や社労士に焦点をあてて論じられています。

 上記の本で印象的だったのは、会社が労働者に対する嫌がらせで、数千万単位の高額の損害賠償を求める訴訟を仕掛けてくることがあるとの点であり(いわゆる「スラップ訴訟」。)、私も実際に担当したことが2~3度ありますので、「確かになぁ」と妙に納得しました(もちろん、労働者側につきましたよ。)。例えば、履歴書の学歴に虚偽があり、その虚偽がなければ雇っていなかったとして、在職中に支払った賃金全額(2000万弱)を不当利得として返還請求してきた事案なんかがそうですね。
 上記のような訴訟を提起するぞと脅されれば、大抵の労働者は、怖くなって会社に意見できなくなったり、辞めたくても辞められないという状況に陥ることでしょう。

 アメリカのカリフォルニア州では、スラップ訴訟対策として「反スラップ法」なるものがあるそうですが、我が国でも同内容の法律が必要になる日がくるかもしれません。




2014年3月6日 | コメント/トラックバック(0) |

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「資格を取ると貧乏になります」を読んで

 今月は何度か体調不良となり、思うように仕事が進まない日が続いています。
せっかく完治したと思ったのに、2日前くらいから再び体調が悪化し、かといって、既に入っている期日を欠席するわけにもいかず、期日だけはなんとか頑張って出廷しています。

 ということで、今日も午後からあったさいたま地裁の期日に出廷してきました。事前に直送済の準備書面の陳述だけで、わずか2分で期日終了。う~ん、体調不良でしんどいのに浦和まで行くことのむなしさを感じてしまいます。

 さて、今日はさいたま地裁からの帰り道に立ち寄った本屋さんで「資格を取ると貧乏になります」(佐藤留美さん著・新潮社)を買って、帰りの電車と昼ごはんの時間を使って一気読みしました。
 この本では、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士という4つの士業にスポットをあてて解説がなされています。
弁護士業界が不況なのは数年前からいろいろ言われているわけですが、公認会計士業界や税理士業界もこれに劣らず大変そうですね。弁護士は、税理士、弁理士には登録するだけでなれますが、公認会計士にはなれない(会計士試験でいくつか免除されるという優遇があるにとどまります。)ので、公認会計士資格もとってみたいと考えたことがあります。でも、「そんな暇(試験勉強する余裕)があるなら、法律の知識を補充しないと」と思って、結局、あきらめましたね。

 作者の言うとおり、「資格さえ取れればたちまち生計が立つ」という考え方自体が誤りで危険なものですが、ただ、弁護士業界に限って言えば、いくら就職難といっても、他の業界に比べたらまだまだ恵まれているのではないかと思います。即独立してやっていける資格は弁護士資格だけでしょうし。

 何にせよ、資格をとった上で具体的に何をやりたいか、どうやりたいかということまで念頭に置いておかないと、うまくいかないでしょうね。

  

2014年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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絶望の裁判所

 最近、元裁判官で民事保全法の大家である瀬木比呂志教授が書いた「絶望の裁判所」(講談社現代新書)を購入して一気読みしました。

 元裁判官として実際の経験を交えた記載がなされているんですが、私が実際に触れ合った裁判官のイメージとは異なるところが多く、あまりしっくりこなかったのが実情です。出世にとらわれて上司の顔色を伺う裁判官が多いとのことですが、私が修習等で触れ合った裁判官にはそんな印象はなかったんで。もしかしたら、偶然、そういう裁判官ばかりだったのかもしれませんが(笑)。

 ただ、裁判官のキャリアについてわかりやすく書かれているのは興味深かったですね。最高裁長官をトップとして、最高裁判事、東京高裁判事、大都市地裁支部長ってな感じで序列化があるのは耳にしたことがあり、本当なんだろうなと思ったりしています。

 筆者は、裁判所の現状を変えるには法曹一元制の導入が必要と説いていますが、現状変更の要否はさておき、一定程度弁護士としてキャリアを積んだ人が裁判官になるというのは個人的には合理的だと思いますね。修習終了後に裁判官になるよりも、弁護士として社会の中で一定の経験を踏んでから裁判官になる方が当事者に配慮した訴訟指揮を行えるのではと感じます。

 興味のある方は是非ご一読ください。


2014年2月23日 | コメント/トラックバック(0) |

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体調不良で…

 2月9日から今日まで自宅で臥せっておりました。9日に起床した時点で、喉の調子が悪く、体も少しだるい状態だったのですが、10日に起床した時点で体調は悪化し、喉が痛くてご飯も食べられない状態でした。
 人間の自然治癒力を信じてあまり病院に行かない私ですが、あまりの痛みに耐え切れず、近所の病院に行って診察してもらったところ、喉が相当ひどい状態だったらしく、2,3日安静にするようにとのことでした。もしかしてインフルエンザではと思い、医師にきいてみたのですが、医師からは「インフルよりひどいよ。」と言われてしまいました(笑)。インフルエンザでなかったみたいなんで、よかったのかもしれませんが…。
 確かに、去年の今頃にインフルエンザに罹ったんですが、そのときの状態よりも辛く、これほどに喉が痛くなるのは初めての経験でした。

 ということで、昨日が祝祭日だったこともあり、日、月、火とお休みさせていただきました。ご迷惑をおかけしてごめんなさい。
喉の調子は相当回復しましたので、今日から業務に復帰しています。遅れた分は、一生懸命やりたいと思います。

 病院には早めに行った方がよいという当然のことを改めて認識しました。

2014年2月12日 | コメント/トラックバック(0) |

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今年もよろしくお願いします。

 2014年度最初のブログ更新です。
1月といえば、裁判所の年末年始休暇明けのため、期日が普段よりたくさん入っていまして、バタバタしていました。今はある程度落ち着いていて、2月は少し余裕が出てきました。今月はたまっていた仕事をできるだけ片付けたいと思います。

 そんな中、寝る前の時間を使って、いろいろと読書していたわけですが、最近読んだものの中でオススメは、万城目学著「とっぴんぱらりの風太郎」(文藝春秋)和田竜著「村上海賊の娘」(新潮社)です。

どちらも時代物小説ですが、お固い内容ではなくスラスラ楽しく読み進めていけます。ちなみに、どちらも2014年本屋大賞にノミネートされています。

 本屋大賞の候補で思い出したんですが、森見登美彦著「聖なる怠け者の冒険」(朝日新聞出版)も買って読了しています。こちらはユーモア溢れる作品で京都好きな人は好きになるのではないかと思いますね。この小説の舞台は京都でして、京都出身の私にはイメージが湧きやすいものでした。

 その他の本屋大賞候補作を読んでいませんので、どれが受賞するかはわかりませんけど、上記3作品の中なら、村上海賊の娘が個人的には一番面白く感じました。

 今日はフライデーナイトですので、私も早めに帰れるように、ブログはここで終わりにして仕事に戻ります(笑)。

 





2014年2月7日 | コメント/トラックバック(0) |

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2013年度もお世話になりました。

 いつもそろそろブログを更新しなくては!と思いながらも、気づいたら約2か月放置していました。
その間、弁護士会館で知り合いの先生から「ブログ更新しない?ちょくちょく見てるんだけど。」とありがたいマニアックなコメントをいただいて、
今頃になって思い出し、急遽、今年の締めくくりということで書いています。

 このブログ、京都行の新幹線の中で書いているのですが、今日(30日)から1月2日まで京都に滞在するつもりです。もちろん、急な刑事事件の依頼が来れば東京に戻りますが、そういう依頼がくる確率はかなり低いですね。

 さて、2013年を振り返ると、2012年よりもよりはやく過ぎ去った感があります。2012年度に比べて、労働事件の割合が増え、その他、離婚事件、男女トラブル関係の事件、建物明渡請求事件の受任が増えました。ただ、相変わらず、労働事件、刑事事件だけで事務所全体の事件の8割以上ある感じです。2014年度も専門性を一層高めていきたいと思っています。


 お世話になった皆様、ありがとうございました。そして、2014年もよろしくお願いします。

2013年12月30日 | コメント/トラックバック(0) |

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徐々に忙しく…

 すっかり更新し忘れていました。更新する時間がないわけではないのですが、特に面白い出来事があったわけでもなく、どうしたものかなと思っているうちに時間が経過していって、今に至ります。

 気がつけばもう11月になっていて、今年もあとわずかなんですね。裁判所ももちろん年末年始は休みなので、この年末前に期日が集中しやすいわけでして、私の場合も同様です。
 当然、期日に向けて準備書面等の書類作成業務も増加しているわけですが、なによりも最近は他府県の刑事事件を数件受任している関係で毎週出張に行っていて、なかなか休みがとれません。というわけで、開きなおって、土・日は働いて平日にマッサージに行ったり、午後まで寝る等して羽を伸ばしています。

 ちなみに、昨日の夜に勾留決定に対する準抗告申立書を必死に起案して裁判所に提出したのですが、結果は棄却でした。なんとか認容されて欲しいと願っていたんですが、棄却との結果をきいて疲れがどっとあふれてきました。でも、あきらめずに早期の身柄釈放を目指して今日も活動してきます。

2013年11月12日 | コメント/トラックバック(0) |

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法服の王国

 書こう書こうと思いながら、しばらく放置していたのですが、最近、黒木亮という作家が書いた「法服の王国 小説裁判官」(上・下)(産経新聞出版)を買って読みました。

 この小説は、裁判官の世界を描いたフィクションなんですが、時折、有名な判決が引用され、また、実名で有名な人物が登場する等、フィクションとは思えない出来になっています。
 原発訴訟や青法協と絡めて、裁判官の世界を詳細に描いていて、非常に面白かったです。
 裁判官をモデルにした小説自体が珍しい(私の知る限りでは)ので、裁判官に興味がある方はご一読することをお勧めします。





2013年9月29日 | コメント/トラックバック(0) |

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iPhone 5s買いました。

 すっかり涼しくなってきましたね。過ごしやすい気候で、仕事もはかどっているような気がします。

 そういえば、auの携帯電話がサムスンのGALAXY SII WiMAXだったのですが、発売日にiPhone 5s(32GB)に買い換えました。
iPhoneを使うのは初めてなんですが、iPadと同じく、わかりやすくて使い勝手がいいですね。スマートフォン初心者の方にはおススメだと思います。

電池の持ちも悪くないですし、何より、auはLTEの通信速度が速くて快適です。

他方で、ソフトバンクの携帯はAQUOS Phoneだったんですが、こちらは操作性はよかったものの、最近まで原因不明の再起動に見舞われていました。
携帯を操作していると、勝手に再起動するわけですが、これが一日に何回も起きていて、本当にまいっていました。ただ、つい先日アップデート対応したおかげで、今は再起動しなくなりましたが…。もっと早く対応して欲しかったのですが。

ここ2年間くらいは買い換えずにやっていこうと思います。

2013年9月26日 | コメント/トラックバック(0) |

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