法科大学院に到達度試験導入?

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 ここ数日、風邪で体調を崩して臥せっておりました。少年の頃はあまり風邪をひかず、健康優良児だと自認していたのですが(笑)、弁護士になって以降、けっこうな頻度で体調を崩しています。今回の風邪は咳がおさまらなくて、なかなかしんどいです。
 でも、昨日一日中静養したおかげで体調が楽になりましたので、早速事務所に来て、仕事再開しました。そんな中、「文部科学省が法科大学院が在籍する全学生を対象として進級判定に活用できる「共通到達度確認試験(仮称)」を導入する方針を固めた」との気になるニュースを見つけました(→ソース元:文科省、法科大学院に到達度試験 司法試験の合格率低迷で – 47NEWS(よんななニュース))。
 司法試験合格率が低迷していることを受け、進級させるかどうかを厳格に判断することで修了生の質の低下を防ぐという目的らしいですが、その効果をどれだけ期待できるのか疑問ですね。修了生の質の低下は、つまるところ、法科大学院の受験者数が低迷し、誰でも簡単に入学できる状況になっていること(優秀な学生が集まらないこと)に起因していると思います。

 ここ数年間、法科大学院入学志願者数は減少し続けているわけですが、個人的には、その原因が司法試験合格率の低迷にあるとは思えません。現在の司法試験の合格率は約25%くらいあると思うのですが、昔の司法試験の合格率が3%だったことに比べたら、格段に合格しやすくなっていますからね。
 むしろ、法科大学院の志願者(法曹志願者)が激減しているのは、①法科大学院を卒業するのにそれなりの期間(未修者で3年、既修者で2年)・費用を要するのに、合格しても就職困難であること、②就職できても待遇が過去に比べて相当悪いこと、③法科大学院修了後の司法試験受験回数に制限があること、④司法修習が貸与制になったこと、⑤法科大学院に行かなくても司法試験を受験できる予備試験ルートができたことが主な原因だと思っています。
 特に、法科大学院修了後の受験回数に制限があるのが大きな要因でしょう。法曹の質の低下を防ぎたいなら、法科大学院志願者数を増やして優秀な学生を集めることが最も有用だと思いますし、そのためには法科大学院修了後の司法試験受験回数を撤廃することが必要不可欠なのではないかと思います。

 文部科学省が提案する共通到達度確認試験を導入し、進級認定を厳格に行うことにすれば、進級できなかった生徒は法科大学院に費用をさらに支払う状況となり、進級できないリスクを恐れて、法科大学院受験者数はさらに減少するのではないでしょうか。
 果たしてどのような結果になるのか、気になるところです。

 

 

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