富田林警察署における逃走事件

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 いつの間にか、8月も下旬にさしかかってきましたね。年を重ねるごとに、月日の経過を早く感じるようになっています。

 今回、仕事で関西方面に出張に行ったついでに故郷の京都に立ち寄ってきたのですが、京都は相変わらず蒸した暑さというんでしょうか、湿度が高くて、外にいるだけで汗が噴き出してくるような暑さでした。

 で、唐突ですが、関西出張中に富田林警察署において弁護人との接見後に被疑者が逃亡した事件のことが頭をよぎりましたので、そのことについてこのブログで触れたいと思います。当事務所の大阪事務所に立ち寄ったのですが、今も被疑者がひったくりを繰り返して潜伏しているというのはなかなか怖いですね。一時的に滞在していた私がそう感じたならば、住民の方々の不安はもっと大きいと思います。

 報道が真実か否かはさておいて、その報道によれば「被疑者は接見室のアクリル板を蹴破って、隙間から逃亡した」可能性が強いということですが、この点は私にとっては謎ですね。私は、弁護士になりたての頃から今日まで、毎年数件の刑事事件を担当していまして、主に東京のいろんな警察署に接見に行きますが、どこも接見室を区切るアクリル板は二重構造になっていて、蹴破れるようなものではないんですよね(あくまで感覚ですが、けっこう分厚いです)。なので、これをどうやって蹴破るのかなっていうのが最初に浮かんだ疑問です。
 もしかしたら、富田林警察署の接見室のアクリル板は二重構造じゃないのかな、警察署の建物が古いのかな、なんていろいろ考えています。

 それから、今回の事件について、インターネット上のやりとりを見ていると「弁護士(弁護人)が被疑者とグルになって被疑者を逃亡させたんじゃないか。」なんて
意見が出ていますが、これはあり得ないでしょうね。弁護士の全員がそう考えてるんじゃないかってくらいにあり得ないことだと思います。弁護士が被疑者の逃亡に手を貸すメリットは皆無ですから。「被疑者からお金もらって手助けしたんじゃないか。」なんて意見がありそうですが、そんなお金があるならばこの被疑者は強盗や窃盗をやってないと思いますし、弁護士が被疑者の逃亡を手助けした場合、重い懲戒処分(少なくとも業務停止は間違いないでしょうね。)を受けることになるので、そもそも、いくらお金を積まれてもやらないと思いますね。

 今回の弁護人の落ち度は、接見終了後に留置係の職員に声掛けをしなかったことくらいでしょう。この点について、確かに、接見が終わった後に受付に職員がいないことがたまにあります。そういうときは、担当職員が留置場の中に入っていることが多いのでしばらく待ちますが、出てこない場合には、接見が終わった被疑者に対して、「ドアを叩いて(トントンとノックする程度)職員(を呼んで接見が終わったことを知らせて」と伝えてそのとおりやってもらったり(留置場の中にいる方がほぼ間違いなく気づきます。)、受付の外にいる他の係の職員(警察官)に声をかけてから帰るようにしています。
 でも、受付に担当職員がおらず、しばらく待っても誰も現れず、留置場のドアをたたいても中に入っている職員が気づかず(反応がなく)、受付の外に警察官もいなかった場合を想定すると、今回の報道を見るまでは、そのまま帰ってしまう可能性があったかもしれません。まぁ、そもそも、そんな場合はほぼないと思いますが。実際、ドアを開けると音がなりますしね。
 いずれにせよ、弁護士も気を引き締めて対応しないといけないと再度認識するきっかけになりました。上記の通り、些細な気の緩みが被疑者の逃亡といった重大な結果につながることがあるわけなので。
 


 

 

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