バイク事故の弁護士への相談・依頼
8月も半ばになりました。一つ前のブログでも言及しましたが、バイク乗りにとって、8月の真夏日はなかなかに耐えがたく、渋滞にはまったりすると、本当に辛い思いをすることになります。特に、大型の空冷エンジンやハイパワーの水冷エンジンなんかだと、股下に熱風を受け続けているような感じになるので、日中の走行は要注意ですね。
私は、空冷エンジン・油冷エンジンの大型バイクが好きで、それらを中心に複数台所有していますが、最近、日中はバイクではなく車で接見に行ったり出廷することが多くなっています。バイクで行くのは夜間の接見くらいでしょうか…。やはり、快適さでは、バイクは車に勝てないですね。エアコンついてるなんて、最高ですし。それゆえに、普通自動車免許を取得して車を買うと、バイクに乗らなくなる人が一定数いることも納得です。
さて、最近、バイク乗りが増えたせいか、バイク事故のニュースを目にする機会が増えたように感じます。
バイク事故の場合、車同士の事故と違って、傷害の程度が重くなりがちですし、バイクそのものの損傷の程度も車よりもひどくなりがちです。車と違って、バイクは転倒しますし、人も放り投げられてしまいますからね。死亡という悲惨な結果に至ることも少なくありません。
それゆえに、車間距離をしっかりとる、速度を出しすぎない、無理なすり抜け運転をしない、右直事故を避けるために交差点に進入する際には右折車の存在を意識する、といった自己防衛が重要だと思います。あと、プロテクター入りの服(ライダースジャケット)や強度の強い服(革ジャン)を身に着けるのも大事ですね。真夏に革ジャン着用するのはしんどいですけど。
万が一、バイクに乗っていて事故に遭ってしまったときは、再び、元気になってバイクに乗れるように、しっかり通院して治療に専念することが大事です。身体よりもバイクが大事で、バイクの修理にこだわる方がけっこういるのですが(お気持ちは少し理解できます。)、バイクの修理はお金を出せばほぼなんとかなる(ことが多い)のに対し、健康の回復はお金だけでなんとかなるものではありません。専門性の高い信頼できる医師に診てもらって、その医師の指示に従って、適切な時期に適切な頻度で通院やリハビリを続けることがなにより重要であり、バイクの修理や賠償はその次と考えるべきでしょう。
なお、バイクの場合、事故によって全損となること(物理的全損のみならず、修理費用が時価額を上回る経済的全損も含みます。)が珍しくありません。このとき、バイクの時価額に関して、事故の相手方(正確には、相手方が加入する保険会社)との間で紛争に発展することが一定数あります。
特に、人気の旧車(カワサキのZ1、Z2やホンダのCBX、VFR750R、スズキのGSX1100S、GS1000、ハーレーのショベルヘッド、ナックルヘッド、その他の各メーカーの限定車等)については、その価値を巡って当事者双方の主張が激しく対立することが珍しくありません。市場における個体数がそもそも少ない・個体数があっても程度が千差万別(旧車の程度は外装だけではわからない)といった事情があるからです。旧車については現行車よりもはるかに趣味性が高いので、年式の違いやカラーの違い(オリジナルペイントかリペイントかという違いも含みます)、純正部品の割合等で価格に大きな差が出ます。しかし、この点を説得的に主張して相手方と交渉することは容易ではなく、法律的な知識やバイクの知識に加えて、旧車に対する深い理解が必要になります。
また、特殊なカスタム・塗装がなされている車両についても、時価額について争いになりやすいといえます。こだわりをもって、お金をかけてカスタムされている方が多いので、当然に賠償してもらいたいと考えるわけですね。しかし、一般的には、オリジナル(ノーマル)の状態の車両の価値が最も高く、カスタム費用は残念ながら、一部の例外的な場合を除き、時価額算定においてあまり考慮されません。
バイクの時価額は、車両自体の程度はさておくと、⓵オリジナルの状態、⓶レストアによる、オリジナルに近い状態、⓷カスタム車、という順で高くなります。
以上のように、旧車やカスタム車の時価額を巡って紛争になることはたびたびありますが、当事者間で交渉を継続してもなかなか満足できる解決に至りませんので、困ったら、まずは弁護士に相談・依頼されるのが安心だと思います。自身や同居の家族が加入する任意保険に弁護士費用特約が付いていると、弁護士費用の自己負担なく弁護士に依頼できますので(ただし、負担してもらえる弁護士費用の上限額は一般的に300万円です。)。
と、ここまで書いてきて、なんとなく弁護士全体の宣伝みたいになってしまいましたが、専門家の判断を仰ぐことによって、自身の主張が正しいか、それとも、誤っているのか(裁判において認められる可能性が低いのか)がおよそ判明し、自身の納得につながりますので、気軽にご相談されるのがよいでしょう。
なお、弁護士の回答が自身にとって不利なもの(自分の考えとは違うもの)で納得できないという場合には、複数の弁護士(3人以上)に相談することを検討しましょう。弁護士費用特約がついている場合には、相談料は一般的に10万円まで保険会社が負担してくれますし、弁護士費用特約がついていない場合であっても、無料相談に応じてくれる法律事務所は相当数ありますので、費用面の心配は気にしなくてよいのではと思います。
そして、相談した複数人の弁護士の回答がいずれも同じ内容だった場合には、原則として、自身の考えが誤っている可能性が高い(自身が無理な主張・法的根拠に欠ける主張・不合理な主張をしている可能性が高い)と考えて、自身の考えを改めるのが無難です。
※ 極めて専門性・特殊性の高い事案(特殊な建築訴訟、医療訴訟、特許訴訟等)については、その専門的・特殊的分野に特化した弁護士を探して相談すると安心です。
私自身、相談を担当していて、相談者さんに対し、「その主張は残念ながら認められません。」、「裁判所が認める可能性は極めて低いと思います。」といったような回答をすることが少なからずあるのですが、このような回答に対して、相談者から「それをなんとかするのが弁護士でしょう。」、「先生はやる気があるんですか。」、「先生はどちらの味方なんですか。」といった厳しい言葉を受けることがあります。認められない理由も裁判例や法令に照らして、分かりやすく説明しているつもりなんですが、期待していた回答と異なる回答を受けた場合、簡単に受け入れることができないのが人の性なのかもしれません。
しかし、弁護士は、依頼者のために全力を尽くすべきですが、魔法使いではありませんので、無理な主張を押し通すことはできません。また、そのような無理な主張をしても、いたずらに時間を浪費するだけでよい解決には至りません(むしろ、相手方の不信感をつながり、早期円満解決の途を閉ざすことになりかねませんし、弁護士倫理上も問題があります。)。弁護士はあくまで依頼者の「正当な」利益の実現に向けて活動するのであって、「不当な(法的根拠のない)」利益の実現をはかるわけにはいきません。この点は、相談者の皆様に何卒理解していただきたいところでして、無理・不当な主張を無理・不当であると回答する弁護士の方が、根拠なく依頼者に迎合的な回答をする弁護士よりも誠実で安心だとお考えください。
2024年8月14日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:日記